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環境Q&A

処理槽の泡の状態について 

登録日: 2011年12月21日 最終回答日:2011年12月26日 水・土壌環境 水質汚濁

No.37820 2011-12-21 14:39:11 ZWlc51e what

処理場の管理をしており、解らないことがあるので質問させていただきます。
 冬場になり水温の低下に伴い、処理槽での泡の状態が変化し、その量も増加してきました。

 処理物 し尿、浄化槽
 泡:白色 粘性あり MLSS 約5000 SRT約10日

 現在上記の状態ですが、泡の色をみると白色ですので、負荷が低いように思うのですが、槽内の微生物を顕微鏡で観察すると糸状菌か放線菌らしきものが増加したようです。
そこで質問ですが、糸状菌と放線菌の判断はどのようにされているのでしょうか?
上記処理状況によると放線菌なのかと思っているところですが、ご教授お願いします。

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No.37827 【A-1】

Re:処理槽の泡の状態について

2011-12-22 11:15:26 瓶寧 (ZWle255

>処理場の管理をしており、解らないことがあるので質問させていただきます。
> 冬場になり水温の低下に伴い、処理槽での泡の状態が変化し、その量も増加してきました。
>
> 処理物 し尿、浄化槽
> 泡:白色 粘性あり MLSS 約5000 SRT約10日
>
> 現在上記の状態ですが、泡の色をみると白色ですので、負荷が低いように思うのですが、槽内の微生物を顕微鏡で観察すると糸状菌か放線菌らしきものが増加したようです。
>そこで質問ですが、糸状菌と放線菌の判断はどのようにされているのでしょうか?
>上記処理状況によると放線菌なのかと思っているところですが、ご教授お願いします。
消化槽後の嫌気性排水ですか、嫌気性の強い排水の場合、低負荷でSRTが長い運転をしていると通常優先じゃない微生物菌が優先になってくるといいます。水温の低下による生物活性は通常微生物菌が優先だと思うのがちょっと気になります。
下水処理場での顕鏡での経験なんですが、糸状菌は中に粒子をもっているのもあり長いひもが並び絡まるという感じで、放線菌はひも状ですが分岐があり、あまり長いひも状で絡まらないという感じです。糸状菌のバルキングはSV高ですが、放線菌の障害は泡状のスカムが分離して浮いている状態でした。下水の経験ですが参考になれば。

回答に対するお礼・補足

SVが高く、年末は負荷量がぞうかするので糸状菌なのかとも思ってしまいます。
なので、状況を改善させるためには相反する操作をしないといけないらしいので悩むところであります。
もう一度瓶寧さんの解答を参考にして顕鏡してみたいと思います
ありがとうございました。

No.37853 【A-2】

発泡の判定方法 その1

2011-12-26 22:12:25 mashi-nana (ZWlba51

顕微鏡では、通常、糸状性細菌は200倍以下で観察できますが、放線菌は400倍以上でないと判定は難しいです。ですので、検鏡により、障害の原因を糸状性細菌か放線菌によるかを判断することは容易だと思います。ただし、環境によっては、糸状性細菌と放線菌が同時に出現することも少なくありません。そうした場合を含めて、判定方法をコメントをしておきます。

1. 放線菌による泡は褐色を帯びていることが多いです。その泡を検鏡すると、微生物が活発に活動しています。(この点で、腐敗汚泥や脱窒汚泥と容易に区別できます。)、また、泡に水をかけても消えることはありません。泡をバケツに掬うと泡が水っぽくならないで、バケツの上から下まで、泡だらけになり、しかも泡を盛り上げることが出来ます。(この点で、石鹸など界面活性剤の白い泡と区別できます。)
 放線菌の糸状体はフロックから離れて観察されることは少ないです。鏡下で、フロック周りを丹念に観察してください。暗視野の方が観察しやすいかもしれませんが、明視野でも慣れれば観察できます。
まず、400倍以上(推奨600倍)で活性汚泥フロックの縁を丹念に検鏡してください。放線菌が存在すれば、鋭角な樹木状(ロドコッカス)、若しくは直角の線香花火様(ノカルディア)に分岐した細い針金状の糸状体として観察できます。
 放線菌は普通フロックの中に存在するので、フロックの周囲に容易に放線菌の糸状体を観察出来るならば、障害がかなり顕在化しているといえます。従って、この分岐した糸状体が無ければ、放線菌による障害とは考えにくいです。

2. 200倍以下の検鏡で観察できる糸状性細菌の中にも発泡の原因となる細菌がいます。それはマイクロスリックス(・パルビセラ)です。200倍では柔らかい?細い糸状の細菌として観察されます。マイクロスリックスは放線菌と同様、通常フロックの中に潜んでいます。しかし、優先状態になるとフロック外で絡まっているような状態でも観察できます。その場合、白っぽい褐色の泡として観察できます。マイクロスリックスは水温が下がる冬季で且つ低DO環境下で発生しやすいようです。

No.37854 【A-3】

発泡の判定方法 その2

2011-12-26 22:20:48 mashi-nana (ZWlba51

3. 粘性バルキングによっても泡が発生します。粘性バルキングとは、高負荷状態で運転するなどにより、難分解性物質やタンパク質などが十分に分解されなかったため、泡立ちやすい中間生成物がフロック中にゲルの様な状態で取り込まれている状態です。
 粘性バルキングは、高水温期と低水温期の変わり目で生物相が変化する際に、適切な運転変更をしなかった場合に起こりやすいです。発生環境は、同時にtype021Nなどの糸状性細菌も増えやすい状況なので、泡を検鏡した場合、糸状細菌も観察される可能性が高いです。糸状性細菌が原因の発泡?と判断を間違えやすいかもしれません。
 しかし、一般に活性汚泥中の糸状性細菌は溶解性の有機物を摂取するタイプですので、フロックの外に糸状体を成長させて、その結果バルキングを引き起こします。自ら粘性物質や泡を形成することは、糸状性細菌自身の増殖に不利益を及ぼしかねないので考えにくいと思います。

以上

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