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環境Q&A

土壌分析の定量下限値について 

登録日: 2011年09月23日 最終回答日:2011年10月04日 水・土壌環境 地下水/土壌汚染

No.37509 2011-09-23 20:26:28 ZWla61d たそがれ

先日、このサイトで土対法関係の溶出試験の定量下限について、質問がありました。
「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン」に明記されている旨の回答をしたところ、「対行政についても十分な説得性がある」という返信をいただきました。
私もそのことについては間違っていないと確信しています。
しかし、ガイドライン程度と位置づけられている物をどうしても守る必要があるのか、という疑問があります。
 http://www.env.go.jp/water/dojo/gl_ex-me/index.html
このページからのApendix-15 補足事項で確認していただきたいのですが、「環告17号地下水、18号溶出、19号含有試験の定量下限値は基準値の1/10を目安とする」とあります。
私どもは、というと六価クロムについて地下水、溶出試験ともに通常、自治体等の取りまとめの数値が0.01 mg/Lとなっていること、また、0.005 mg/Lまで下げると試料によっては分析上のリスクが高まることから、下限を0.01 mg/Lとしています。
また、19号含有試験ですが、基準値の1/10よりもかなり低いところまで出しています。例えば、ほう素やフッ素は基準の1/10は400 mg/kgですがこれでは本当の汚染が見れないという理由からもっと低く設定しています。
以前、日本分析化学会の「土壌分析セミナー」でも分析法作成者のお一人が同様なことを言っていました。
環境省にはまだ尋ねていませんが、このようなことが許されるものなのか、分析機関、調査機関の皆さんにご意見を伺いたいと思います。
よろしくお願いします。

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No.37515 【A-1】

Re:土壌分析の定量下限値について

2011-09-27 23:56:17 BATA (ZWl5461

一つの意見として…

1/10程度はあくまで目安です。(と考えています。)

うちでは、六価クロムの定量下限値を基本的にはジフェニルカルバジド吸光光度法で0.02mg/Lと決めています。
ICPなどを使えば、0.005mg/Lも可能なのでしょうが、鉄共沈法の煩雑さとオペレーターの技能によってバラツキが大きく出てしまう方法であることから、採用をしない方向でいます。
(もちろん、客先から要望があれば頑張ってやりますが…)

あと、鉛については、ICP-MSがないので0.001mg/Lを下限値にするほどS/N比を良くすることができませんし、濃縮する時間がもったいないことなどから、ICP発光もしくはフレームレス法で0.005mg/Lとしています。

業として計量証明事業を行っているからには、信頼できるデータを出す方を優先して考えています。

ここからは、私の独断と偏見ですが、1/10程度を目安にされているのは、鉛、カドミウムなど、フレーム法でも容易に分析できる方法で、ギリギリ0.01mg/Lという基準値付近を出されても、なかなか判断に困るでしょう。
さらに、0.01mg/Lより、もう一桁下の値を見ることで、0.010mg/Lが基準に適合、0.011mg/Lは基準に不適合と、基準値との対比をさらに厳密に見ることが可能だと思っています。
(下限値が0.01mg/Lだと、両者とも0.01mg/Lとなり、見かけ上、基準に適合と見なされるでしょう)

ガイドラインのApendixは参考程度ですが、行政の担当者が判断を行う際には、バイブルとされているでしょう。
ただ、これはあくまで、汚染調査に対してのもので、分析に関しては、計量証明事業所に行わせることとされています。
説明の根拠として、ガイドラインを持ち出すことは、かなりの有効な手段だと思いますが、その逆は真ではない…

私はそう思っています。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。

六価クロムは鉄共沈機器分析だとキレート結合かなんかしている三価クロムが一緒にろ紙をすりぬけて測られる可能性があるようだし、吸光光度法は還元剤が含まれている試料においては硫酸酸性にしたとたん、六価クロムが還元されてしまうリスクがあると考えています。クロム酸の処理施設のようなところは0.005 mg/Lは大変厳しいのではないでしょうか。ちなみに近隣の試験所に聞いたらで0.005 mg/Lのところも0.02 mg/Lのところもありました。

「業として計量証明事業を行っているからには、信頼できるデータを出す方を優先して考えています。」

まったく同感です。しかし向こう側から本当に強い発信があればそんな考えの私共は総崩れ、ということになってしまいます。
したがって、今の時点では環境省にはあえて聞かないでおこうと思っています。

No.37519 【A-2】

Re:土壌分析の定量下限値について

2011-09-29 23:32:37 BATA (ZWl5461

ときに、この「1/10を目安に」ってものの公的な資料ってありますか?
ガイドラインのApendixは、従前の技術的手法の解説にも書かれていたものです。

環境省や中環審の答申などになんかありましたっけ?

一般的にそういわれているのですが、その大元にたどり着けずにいるんです。

スレ主さん、その他の方、ご存知の方はおられないでしょうか?

回答に対するお礼・補足

私も探せないでいます。
ないとしたら、純粋にガイドラインを超えるものではないと解釈できるのかも知れません。

もうしばらく開けておきます。

No.37522 【A-3】

目安は「目安」だとおもいます

2011-10-04 00:00:36 Lake (ZWla752

土壌の分析はしていないので、見当違いならすみません。

http://www.env.go.jp/hourei/add/e013.pdf
環境基本法に基づく環境基準の水域類型の指定及び水質汚濁防止法に基づく常時監視等の処理基準について(自治体向けの通知です)

この中の、「第2 水質汚濁防止法関係」「1.常時監視(法第15条関係)」「(2)常時監視の結果の報告」「3)報告下限値等」のBに、「なお、人の健康の保護に関する環境基準項目又は地下水の水質汚濁に係る環境基準項目の定量下限値は、鉛、砒素及び六価クロムについては環境基準値の1/2以下に、セレンについては環境基準値の1/5以下に、カドミウム、ジクロロメタン、四塩化炭素、塩化ビニルモノマー、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ふっ素、ほう素並びに1,4-ジオキサンについては環境基準値の1/10以下に設定することが望ましい。」とあります。

少なくとも、環告17号地下水の測定方法は水質環境基準の測定方法と同じなので、おそらくここの記述をもとにしているのではないかと思います。(この通知自体も「望ましい」なのですが)
もっとも、ここでは、「鉛、砒素及び六価クロムについては環境基準値の1/2以下に、セレンについては環境基準値の1/5以下に」と書かれていますが…

すでにご存じでしたらすみません。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。確かLaKeさんは自治体の方でしたね。

この通知は知りませんでした。土壌のガイドラインでは「目安とする」に対してこちらは「望ましい」という表現です。
そうするとガイドラインではどの辺を上限とするか、という問題が残されますが、基準値の数値というわけにはいかないはずです。
やはり、最近の機器の性能を考えるとこの通知の中の
、「鉛、砒素及び六価クロムについては環境基準値の1/2以下に、セレンについては環境基準値の1/5以下に」
くらいが上限なのではないでしょうか。
いずれにしても環境基準項目の指針となる報告下限値を知ることができたことは大変有益でした。


LaKeさん この場をお借りして別のメッセージを発信することをお許しください。
いくつか後に農薬関係のスレッドを立てましたが、顧客との関係を考え、削除させていただきました。回答に向けていろいろ考えてくださった方がいるやも知れないことから、この場で理由を述べさせていただきました。

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