一般財団法人環境イノベーション情報機構
酸化池の必要酸素量など
登録日: 2010年09月30日 最終回答日:2010年10月04日 水・土壌環境 水質汚濁
No.35716 2010-09-30 14:01:35 ZWld925 k1963
工業排水の嫌気処理の後に、ばっ気型酸化池を使ってBOD除去をしようとしています。
ばっ気型酸化池の必要酸素量は通常、どのように計算されるでしょうか?また、そのBOD負荷はどの程度にしたほうが良いでしょうか。
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No.35720 【A-1】
Re:酸化池の必要酸素量など
2010-09-30 21:26:47 papa (ZWlbd18
そのような意味では特別な設計基準があるわけではないので、通常の長時間ばっきと同じに考えていただければよいと思います。
畜産排水のように広い面積があり浅い水深で酸素の表面溶解が期待できる場合はラグーンのような処理方式は採用しやすいのですが、面積に制約のある事業所排水処理に適しているとは思えません。今まで事業所で見てきた限りではきちんと額面どうり稼動してるところはひとつもありませんでした。余剰汚泥の発生が少ないなどのセールストークを信じて導入したところがほとんどでした。
本質的にはラグーンに強制ばっきすることは電力の消費が大きく、浅い水深では溶解効率を高くできないので電力原単位の点では大変不利な条件です。一般的には槽容量が大きく汚泥調整も容易ではないので、それぞれの事業所ごとのインターバルで解体とバルキングを繰り返し定常的汚泥流出となる(これを汚泥発生が少ないと誤認している経営者が多い)事業所をたくさん見てきました。そのたびに水処理担当者の涙ぐましい尽力に遭遇してなんとも複雑な思いを何度も経験しました。
原理的に考えても今の日本では導入はむつかしいと思いますので、セールストークだけに頼らず他の処理方式を詳細にご検討されることをおすすめします。。
No.35731 【A-2】
Re:酸化池の必要酸素量など
2010-10-02 00:05:37 みっちゃん (ZWl8a13
A−1解答には若干の偏見が混じっているようなので補足します。
回分式低負荷活性汚泥法もODも歴史的には酸化池の延長として考えられた処理方法です。
御覧になった産業用装置の処理が上手くいっていないことをもって装置の欠陥と捉えているようですが、設計ミスをもって装置の欠陥と捉えるなら良いですが本質的に装置の適正がないと捉えるのは間違えでしょう。
水質水量変動に対応する設計をしていない装置に変動が加われば処理が上手くいかないのは当たり前で、良好な運転をしている装置も沢山あります。
数万トンクラスの下水処理場で良好な場と不良な場があるのと同様です。単に運転技術だけでなく、監視装置や有効な操作可能性、補機の有無などで結果は大きく変わります。
実際のところ敷地と臭気と衛生害虫(ユスリカなど)の問題がクリア出来るなら処理量当たりの投下エネルギーが低いので思想的には悪い装置ではないと思います。今後第三世界や砂漠地帯では積極的に展開すべき装置と思います。
ただね〜〜〜日本の土地の価格では???
まともに設計できる設計者も殆どいませんし、今の水処理屋は流入水質を測定してそれだけ観て平気で設計します。仕様書には測定水質でしか担保しませんと平気で書くしね。生産物の変動とか、休業日のショックとか殆ど考えていません。
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=35549
などどうしようもない設計だとおもいます。
よく云う木を見て森を見ないんです。
取り敢ずひも付け・・・閲覧者は参照して下さい
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=35759
No.35734 【A-3】
Re:酸化池の必要酸素量など
2010-10-02 07:47:01 papa (ZWlbd18
ラグーンというのは本来は表面溶解と藻類の酸素供給によりばっき装置なしに稼動できるものですが、狭い日本では本来の特性を行かせるだけの土地条件が整わないので、ラグーンまがいというか低負荷回分式でばっき装置をセットしたものがばっきラグーンという商品名で販売されています。
池水深を浅くすることは水槽の構造上建設コストを節約できるのですが、このことが酸素溶解効率を低下させ電力原単位を大きくしています。また、池の形状が矩形または円形のためばっき装置の制約が出てきます。
ばっきラグーンとして建設されたものの実態はかなり幅があり、脱水機もないラグーンにごく近いものから単なる回分式、更には連続式で最終沈殿地、脱水機まである長時間ばっきにごく近いものまであります。
ラグーンという名称が汚泥発生が少ないと信じられているため、商品として販売するための便宜的な呼称として利用されているものがほとんどです。販売戦略としての呼称をとやかくいうつもりはありません。
したがって、連続式で最終沈殿地や脱水機まで備えたもの(稼動後に追加しているところが多い)の呼称としてラグーンは不適切だと思います。
最終沈殿地や必要規模の脱水機を備えたものは、ばっきラグーンとは考えておりませんでしたので回答に偏見を交えているとは考えておりません。
>実際のところ敷地と臭気と衛生害虫(ユスリカなど)の問題がクリア出来るなら処理量当たりの投下エネルギーが低いので思想的には悪い装置ではないと思います。今後第三世界や砂漠地帯では積極的に展開すべき装置と思います。
表面溶解と藻類の酸素供給によりばっき装置なしに稼動でき、汚泥処理を脱水せずスラリーのまま農業利用できるようなるならみっちゃん様の回答のとうり優れた装置であると思います。ご指摘のとうりODAなどで本来の利用方法が可能ならご指摘には全く同感です
No.35741 【A-4】
歴史的事実は曲げられません
2010-10-04 01:15:24 みっちゃん (ZWl8a13
ねじ曲げて覆い隠すことは実際に沢山ありますが、歴史的な事実は単に事実なんです。
水処理は沈殿、濾過、希釈(生物処理)、埋却、が基本で地域により燃料や家畜飼料や肥料に利用しますが、後半は水処理にはあまり関係ないので触れません。
これら水処理方式は、近代の大規模な処理を行なう以前から経験的に知られ行なわれてきました。
沈殿は上下水共に古来から知られた方法で、近代的下水で最初に採用された方法です。今でも処理の中心的な方法として組み合わされ利用されています。
濾過も同様に古来から使用された方法で、上質な水を必要とする場合等に利用されています。1893年に開発された散水濾床が廃水処理の代表です。
希釈ですが之は活性汚泥、回転円板、ラグーンと呼ばれる方法にわかれます。
池に廃水を流し放置すると水が処理されることがいつの頃か経験的に知られてきました。水をかき混ぜると早く処理されることが解り、有る条件でかき混ぜると活性汚泥と呼ばれる汚泥が発生して処理効率が高く1914年に開発されました。
回転円板は1958年と後発の技術で生物機構が理解されることにより開発
されましたが、今では余り重要な技術とは言えなくなってしまいました。
さていよいよ本題のラグーンですが、この方式は自然発生的な方式で今に続いています。方式の基本は池に貯留する、それだけです。またこの方式は好気性と嫌気性に別れます。
いずれにせよどこかで固−液分離を必要とするのですが、好気性で希薄な場合にはそのまま放流されます。濃度が濃くなると、発生した藻やプランクトンを魚類の食物として利用したり水耕栽培により系外排除する方式もあります。
この場合魚類の生息密度が上がれば当然撹拌も行なわれます。また藻類などが発生し脱水で排除されることも多いです。供給される有機物が多くなると当然撹拌が必要になります。くどくど私が書くより此処を呼んでいただきましょう。
http://www.jswa.go.jp/gijutu_kaihatsu/g_shiryou/merumaga/merumaga_back/pdf/68.pdf
嫌気は浄化槽の嫌気槽が代表です。
No.35742 【A-5】
用語に関して若干の補足
2010-10-04 01:47:48 みっちゃん (ZWl8a13
嫌気性のラグーン、日本では発酵槽と呼ばれたりする場合もあります。
昔先輩に尋ねたことがありますが、先輩の感覚として、欧米では研究者が余り造語をせず、現在使われている言葉の内から似た用語を選択することが多いからで、そのために厳密さが失われ混乱を招くことも多い。その点我が国では、新語や適切と思われる漢語の組み合わせで造語する場合が多く専門家は新しい言葉を覚える手間が掛かる。
前段の歴史の件も、発展型なので酸化池の用語が付くのは歴史的には当然のことなのです。
処理方式が前提と変わったから酸化池の使用を認めないとか言い出すことは可笑しいことになります。
ただ、処理方式が変わったことは当の開発者たちも認めていることで曝気式酸化池、複合ラグーン法などの呼び名が付けられています。このまた改良型がODで沈殿池や脱水機がセットと考えられています。
一つ此処で混乱があります。回分式活性汚泥法の大規模方式で曝気式ラグーン法と呼ばれる方式が回分式の改良として考案されるのですが、方式の完成型としては殆ど同様の処理になります(見分けは付きません)。
翻訳の場合の引用ですが
原典の精神を反映すること、文章を正確に伝えることは決して一語一語の正確な翻訳によって達成されるわけではない。これは文全体の正確な意味が必ずしも、それぞれの単語の字義的な正確さによって構成されるとは限らないことによる。もちろん、文章全体の意味が一語に集約される場合は、一つの言葉が全体の意味を決定してしまうこともあるかもしれないが、そういうことはあったとしてもごく希であろう。一つ一つの単語から文全体の意味を捕えようとすると、大変な思いをするわりには、不正確で分かりにくい文章が増えることになる。おそらく英語を学んだ人なら誰でも、次の記述に思い当たることがあるに違いない。
ここに述べられている通り、各語の意味を決定するのはあくまでも、その語の字義ではなく文章全体の意味である。まず先に単語があってそれから文章がというのではない。先に言いたいことがあり、それから単語が選ばれてくるというのが通常の順序である。しかし、字義訳では、たいてい最も確率の高い訳語が文全体に押し付けられることになってしまう。こうした字義訳のパターンは、語の意味にかなりの幅があるとき、特に問題となる。
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