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環境Q&A

ダイオキシン類に係る大気調査について 

登録日: 2010年04月23日 最終回答日:2010年05月09日 大気環境 大気汚染

No.34631 2010-04-23 03:54:53 ZWld414 アーロン

台湾で環境関連の仕事に勤めています。
日本のダイオキシン(大気)対策について、数点ご教授願います。

@ダイオキシン類の環境基準については、
 長期的に摂取される場合において、年平均値0.6pg-TEQ/m3と記載されています。
 実際の測定は一年間連続採取を行っているのでしょうか?
 それとも24時間平均や週平均を年間に数回調査して、年平均を求めているのでしょうか?

Aダイオキシンの環境基準に満たせない場合は、どのような処置を行うのでしょうか?

Bダイオキシンの大気環境基準を実施されて何か特殊な問題が発生したことはあるか?
 今後は規制を厳しくする予定はあるでしょうか?

よろしくお願いします。

総件数 6 件  page 1/1   

No.34662 【A-1】

Re:ダイオキシン類に係る大気調査について

2010-04-27 15:20:54 ronpapa (ZWlba5

失礼します。
私の立場は製造業に勤務する環境統括担当者ですから、技術面から回答する能力はありません。
- 私の手元には「平成21年版/□□県/環境白書」があります。各自治体毎に集計報告と公開発行され、ネット上にも公開されていますから閲覧可能です。 ご質問の多くはそこから現況を知ることが出来ると思います。 全国的には、大気汚染物質広域監視システム『そらまめ君』というのがあって、日本全体と各地域別にリンクした大気汚染状況がネット公開されてもいます。
- 測定方法についてですが、一年間の連続採取ではないようです。 一般的には一日24時間サンプリングによる平均値の2%除外値(すなわち98%値と称するもの)が使われているようですが、一週間サンプリングの手法も採用されているはずです。 国内における測定と報告の主体は、地方自治体に移管されていますから、それぞれの都道府県市によって若干異なる場合もあるかもしれません。
- 有害大気汚染物質及びダイオキシン類の測定は、月1回又は四季毎に測定分析され<*>、年度終了後に測定地点毎の年平均値を年次報告書として公表されています。
< * 日本の四季は春・夏・秋・冬ですが、まぁ概ね四半期毎と理解してよいと思いますから、第1四半期は4月〜6月の間、第2四半期は7〜9月の間、・・・・・ ということで年4回の測定値になります。>
- 私の住む県の環境白書では、環境基準0.6pg-TEQ/m3に対して(14箇所の測定地で)それぞれの季節値のうちの最小値0.0077、最大値0.075であり、年平均値の中の最小値は0.011、最大値0.033となっています。地方都市ですから、こんなものでしょう。 ですから、AとBの質問に対しては過去の取り組み事案を情報検索するしかないように思います。

環境省などのダイオキシン関連情報サイトURLを記載しても良かったのですが、アーロンさんがどの程度すでに知っておられるか分からず、他の方々からの回答も付く為の入り口情報としてコメントしました。

〔余談〕 台湾ですか。懐かしいですね。友人・知人も多く、私にとっては大切な所です。主に仕事で台南と高雄を往復していました。台北は観光が主でしたが、まだ台湾新幹線には乗っていません。 アーロンさんの環境関係のお仕事は公務ですか民間ですか?

No.34664 【A-2】

Re:ダイオキシン類に係る大気調査について

2010-04-27 19:02:56 スケさん (ZWl1d28

>@ダイオキシン類の環境基準については、
 測定方法の経緯からご説明します。
 ダイオキシン類(以下DXN)の測定は、ハイボリウムエアサンプラを用い当初700mL/minの吸引で24時間採取で実施していました。しかし、24時間では瞬間的評価となる場合があったので、100mL/minの7日間連続採取が開発されました。採取時間は長ければより平均となります。また、24時間採取を繰り返し7日間行い、その平均値を求める手法もあります。しかし、採取や分析料金の観点から、7日間連続採取で1検体分析するのが一般的と思います。測定は、4季(春夏秋冬)の平均を環境基準と比較します。予算が無い場合など夏・冬の2季で平均しているケースもありました。
 先の回答に98%評価とありましたが、これは自動測定器で分析する浮遊粒子状物質や二酸化硫黄の長期的評価に適用するものです。DXNのように1採取1検体には適用しません。
 

No.34665 【A-3】

Re:ダイオキシン類に係る大気調査について

2010-04-27 19:25:16 スケさん (ZWl1d28

文字数制限のため、分けて回答させていただきました。

>Aダイオキシンの環境基準に満たせない場合は、どのような処置を行うのでしょうか?

埼玉県での取組を説明したいと思います。
埼玉県の所沢には、トトロの森でお馴染みの雑木林が沢山ありました。しかし、一時期、相続の関係からその土地を売り出し、産業廃棄物処理業者の焼却炉が乱立しました。適切な排ガス処理が行われないと当然排ガス中のDXN濃度が高くなり、結果大気環境濃度も高い地域でした。そこで、この点を行政、市民が色々考え、行政は、排ガス規制や焼却炉の維持・構造基準の法制化、市民は、ゴミの減量と分別に取組んだわけです。国は、一般都市ごみ焼却炉の広域化を図り、絶対数を減らし、適切な排ガス処理装置に投資できるようにしました。また、野外焼却の禁止などの条例化も行いました。今3Rと言われている、リサイクルの取組は、DXN問題から始まっていると言っても過言ではありません。

>Bダイオキシンの大気環境基準を実施されて何か特殊な問題が発生したことはあるか?
> 今後は規制を厳しくする予定はあるでしょうか?
DXNの環境基準は、放っておいては問題ありと判断され決められました。平成12年から3年間の排出インベントリを検索して見て下さい。対策が良かった現れと思いますが、素晴らしく削減されています。

DXNの環境基準は、人が飲む水・呼吸の大気・土壌との接触・食べ物からの摂取のバランスから考えれています。今のところ環境基準が定められてからそのバランスに問題が発生しているとの情報はありません。また、人の耐用摂取量やDXNの毒性データはWHOなどで見直されていますが、今のこころ環境基準を変更するような差は出ていないと思います。 

回答に対するお礼・補足

スケさん 詳しくご回答ありがとうございます。
リサイクルの取組は、DXN問題に繋がるのですね。
話は変わりますけど、大気DXNが規定の0.6pg-TEQ/m3を超えた場合、
罰則はどうなるのでしょうか?
大気なので、どうやって罰則の当事者を決め分けるのでしょうか?

No.34688 【A-4】

Re:ダイオキシン類に係る大気調査について

2010-05-02 22:51:37 ronpapa (ZWlba5

対不起!!(失礼しました)
私の「85%評価法」についての説明は誤りです。A-2が正しい説明です。

A-2.A-3.スケさんからの正しい回答が得られましたので、私の意見回答は消そうかと思ったのですが、失礼な行為は好みませんので、A-1.は残します。

スケさんは行政又は計量測定を担当されるお仕事でしょうか?
埼玉は学生時代に思い出のある土地ですが、山間部と河川の自然には感動を覚えました。 台湾の山間部にも素晴らしい自然が残されていましたが、マンゴーやライチなど果物の美味しさも思い出しました。

回答に対するお礼・補足

ronpapaさん ありがとうございました。
スケさんとの回答を両方見てだいぶ現在の測定方法の概況が分かりました。

環境省のDXNに関する法の規定は見ましたのですが、
日本語の語学力が不十分なので、分からないところはまだまだあります。

私は民間の会社にいます。今は大気DXNに関する規定を参考にしている段階です。

私の大学時代は台南ですごしました。
ronpapaさんはどういうお仕事で台南、高雄に来られたのでしょうか?

No.34701 【A-5】

Re:ダイオキシン類に係る大気調査について

2010-05-07 09:24:38 スケさん (ZWl1d28

>追加の質問の件
>@ダイオキシン類の環境基準の超過について

 環境計量の一般大気・排ガス・悪臭・騒音・振動などフィールド業務を行っていた経験からお答したいと思います。
 環境基準は超過したからと言ってどこかの工場などを規制することはできません。河川の場合では、上流に位置する工場の排水の痕跡などで直ぐにサンプリングして発生源を特定できる場合もありますが、大気ではできません。よって、DXNの24時間採取法が有効となります。同時に風向・風速を測定して発生源地域の絞り込みを行います。絞り込んだ地域にある焼却炉などの発生源のある事業所に行政が立ち入り検査に入り、時には排ガス測定も実施し、規制が守らているかなどで対策されます。一定規模以上の施設であれば、COや燃焼排ガス温度の連続記録が義務付けられていますから、その記録から改善指導もできます。こうしてコツコツと1つずつ対応して環境基準が達成できるように行政の環境担当の方々は頑張っています。

No.34714 【A-6】

多謝! (もう必要の無い追加レスだとは思ったのですが…)

2010-05-09 03:09:32 ronpapa (ZWlba5

- これまでのスケさんからの回答と助言は、現実であり現場的なものだと思います。 そこには、多くのkey wordsも含まれていますから、いくつかの言葉をpick upしてwebサイト検索されると良いと思います。
- 私が得た情報サイトURLの一部は以下の通りです。
 ↓日本環境化学会
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jec/top_page.shtml
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jec/ecinfo/Chemicals1.shtml
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jec/ecinfo/Chemicals/dioxin10.pdf
 ↓環境省
 http://www.env.go.jp/air/osen/manual/index.html
 http://www.env.go.jp/air/report/h17-01.pdf
 http://www.env.go.jp/chemi/dioxin/
 ↓そらまめ君
 http://soramame.taiki.go.jp/
- アーロンさんが調べられたい事について掲載されている情報サイトURLが必要でしたら、再度質問されてもよいと思います。

- 私の会社では、数年前に(各事業所/工場に設置していた)焼却炉を全て廃止(廃棄処分)し、そこに残された残渣も含めて慎重な処理を行ないました。 費用は掛かりましたが、ダイオキシン類の発生原因となるものについては社会的コンプライアンス厳守の姿勢を第一義とする経営トップ判断でした。 煙となるものが全て有害ということではないのでしょうが、それ以来、私たち日本人は煙に対して敏感な人種の部類になったのかもしれません。 しかし、目に見えない大気汚染有害物質のほうが怖い存在なのかもしれず、その為に国内監視システムの構築に多大の国費を投入したのだと思います。今でもそれは継続されています。 罰則規程もありますが、それ以上に社会的システムの構築と個人の意識向上が必要だったのだと思います。 逆の反動もあって、特別に神経質な国民性となったようにも思いますが、それは昔からの特性なのかもしれません。

〔付記〕
私の台南での仕事は、日本向け製品の生産と輸出のお手伝いでした。
国立成功大学近くの喫茶店のコーヒーはおいしかったです。
台湾の環境問題は深刻な状態なのでしょうか?
大切な仕事ですから頑張って下さい。加油! (注油! だったかな?)

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