社外秘である臭素系難燃剤の情報について
登録日: 2010年03月26日 最終回答日:2010年03月31日 健康・化学物質 有害物質/PRTR
No.34434 2010-03-26 20:06:26 ZWld312 さくさく
本格的に環境関連の仕事を始めて間もない新米担当者です。
すみませんが教えてください。
特に車載メーカーに電子部品を納入する際に、成分表(どんな物質(CAS#)がどれだけ含まれているか)の提出を求められますが、モールド樹脂や接着材等では、モールド樹脂メーカーや接着剤メーカーは、その製品のノウハウ(社外秘)が詰まっているために、その成分のすべての情報を公開しないと認識しています。
MSDS等でも、すべての成分(物質)についてCAS#の表示されないと認識しています。
JAMAシートへの入力に対しても、数年前までは「社外秘である臭素系難燃剤を報告する際は、どのように報告すれば良いか。」に対して「ワイルドカードで報告してください」等の対応策を明示している車載メーカーもありましたが、最近厳しくなってきたように感じます。
みなさんは、どのように対応していますか?
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No.34443 【A-1】
Re:社外秘である臭素系難燃剤の情報について
2010-03-29 14:37:24 cerha (ZWla613
自動車業界では、製品中に含有している場合に申告しなくてはならない全世界統一の要申告物質リスト「GADSL」というものがあり、当然IMDSやJAMAシートでも採用されています。GADSLはある程度法規動向等を鑑みながらも業界として自主的に取りまとめたリストですが、自動車メーカーだけでなく部品メーカーや化学業界も広く参加して作成されており、該当する物質を含有する場合は開示することが求められます。
ご質問の「臭素系難燃剤」がこのGADSLに該当する物質かどうかで、対応がまったく違ってきます(該当するならCAS番号も含めて開示する必要がありますし、非該当なら「ワイルドカード」で報告できる可能性あります。)。
IMDSやJAMAシートにおいて、IMDSレコメンデーションというIMDS参加自動車メーカーが合意している共通ルールがありますが、この中の大原則となるIMDSレコメンデーション001において、GADSL要申告のルールに加えて、いわゆる「90%開示ルール」(「Misc10%ルール」とも)というものがあります。これは、「ワイルドカード」は1材料中に合計で最大10%まで、というものです。よってもし「社外秘の臭素系難燃剤」がGADSLに非該当だとしても、10%を超えるなら「ワイルドカード」に置き換えて入力することができません。(自動車メーカーさんの見解は、ノウハウの部分はこの10%の範囲内で対応できる、という(一方的な?)ものです。)
またIMDS・JAMAシートには、「疑似物質」と呼ばれるCAS番号を持たない便宜上の物質データが準備されており、これを用いて詳細の物質名を開示することなくぼやかした形で報告することができる場合があります。(この「疑似物質」は、「ワイルドカード」とは違い10%を超えて使用することも認められています。(ただしGADSL該当物質を置き変えることは不可。))
GADSL非該当の臭素系難燃剤に対してはこの「疑似物質」の中の「Halogenated compound ISO 1043-4, not declarable」というものが使用できるかもしれません。「Halogenated compound」はハロゲン化合物、「ISO1043-4」は難燃剤、「not declarable」は申告不要つまりGADSL非該当を表します。
以上、参考までに。
回答に対するお礼・補足
アドバイスありがとうございました。
アドバイスをいただいたおかげで、販売代理店と上手く話ができそうです。
質問した状況では、販売代理店はすべて(全物質のCAS#まで)の情報が必要だという勢いでした(車載メーカーの要求は、販売代理店を経由するので事実が???のことがあります)。
部材メーカーのノウハウがあるから全ての物質のCAS#までは無理だと思っていたので、どのように対応すれば良いかわからずにいました。
アドバイス中の「90%開示ルール」(「Misc10%ルール」)について話してみようと思います。
No.34446 【A-2】
確認させてください
2010-03-29 21:01:39 todoroki (ZWl7727
・自動車メーカー
・自動車部品メーカー
・素材メーカー
の中の、どの業界の社員としてのご質問なのでしょう?
参考に出させていただく資料も、若干異なるので。
回答に対するお礼・補足
todorokiさん
ご連絡ありがとうございます。
私は自動車部品メーカーです。
正確には、電子部品メーカーなのですが、自動車関連の顧客に供給する場合があり、今回は自動車顧客だったため(代理店商社が)JAMAに登録する必要があり、CAS NOがある成分名か、より細かい成分名が必要だといわれております。
No.34449 【A-3】
では業界の中を俯瞰していただくということで
2010-03-30 20:53:06 todoroki (ZWl7727
こういったところが参考になりますか?
@http://www.denso.co.jp/PURCHA/contents/green/document070618.pdf
Ahttp://www.fujitsu-ten.co.jp/ecology/guideline/docs/document07082104.pdf
これらによると、『その物質がGADSLに記載されている物質でなければ、
Flame Retardant, not to declare(ワイルドカード)で報告下さい。
但し、GADSLに記載されている物質であれば、
その化合物をリストの中から選択して報告して下さい。』というスタンスが一般的です。
また最新版としてはこちらで。
Bhttp://www3.toshiba.co.jp/tm_dsp/document/Green_Explanation_meeting2009B_j.pdf
Chttp://www3.toshiba.co.jp/tm_dsp/document/guideline_j_NN600-0010-0001Rev.11.pdf
こちらでは、
『社外秘等の理由で開示できない成分(化学物質)で当社環境管理物質でない場合は
「misc.(その他)」と記載しても構いませんが、一つの均一素材の中で、
「misc.」の合計が10%を超えることはできません。』というスタンスになっています。
これが「90%開示ルール」(「Misc10%ルール」)というものですね。
どうも最近、cerhaさんもおっしゃるように、B,Cのスタンス
(「90%開示ルール」)が主流になりつつあるようです。
以下主観ですが、自動車部品メーカーは「川の中流」ですから、
上流(素材メーカー,電子部品メーカー)からの情報を、
・過不足なく
・抜け漏れなく
・客観的事実だけを
・余計な調査,分析することなく
きちんと、下流である自動車メーカーに流すことが望ましいようです。
cerhaさんのお答えと合わせて、ご検討ください。
回答に対するお礼・補足
todorokiさん、ご回答ありがとうございます。
大変参考になりました。
まだまだ新米ですが、これから精進したいと思います。
本当にありがとうございました!
No.34452 【A-4】
Re:社外秘である臭素系難燃剤の情報について
2010-03-31 10:37:44 cerha (ZWla613
車載メーカーさんや販売代理店さんとの交渉する上で、ってことだと具体的な資料が提示できると良さそうですが、私が先に紹介した「IMDSレコメンデーション」はIMDSに企業登録してログインしないと入手できないので・・・その点todorokiさん紹介資料は大変参考になります・・・で、それらは電子部品系メーカーのJAMAシート報告に関するものなので「さくさく」さんにはより的確と思われますが・・参考までに私のほうではその先の自動車メーカーのIMDSに関する資料で公開されているものを紹介しておきますと・・・
https://www.mdsystem.com/html/data/Request_from_Nissan_Concerning_Material_Data_Input_in_IMDS_ja.pdf
この中のP.8に「GADSLリストにおいて要申告または禁止されているため申告しなければならない物質は必ず申告すること。」とか「ワイルドカード - 最大10wt%迄」とか載ってますし
https://www.mdsystem.com/html/data/SUZUKI_IMDS_Operation_Manual_2.4_JP.pdf
こちらの中のP.6には「100%のワイルドカードは禁止します。またできるだけ10%以下に抑えてください。」とか「要申告物質はGADSLに基づきます。」とか載ってます。
ということで、JAMAシート・IMDSともに「GADSL要申告ルール」と「90%開示ルール」が自動車業界でのほぼ標準ルールとなりつつあります。
todorokiさんもいわれるように、以前はGADSLのみ必須で他は任意でしたが最近はGADSL(はもちろん必須で)以外もできるだけ90%以上開示するよう求められる傾向で、やはりこの部分で素材メーカーさんの「ノウハウに係わり非開示」という壁で難航しますね・・ただしGADSLは化学業界も参加してますので、GADSL該当物質なら開示してくれるはずです。あとはそれ以外の部分は先に紹介した(CAS番号の付かない)「疑似物質」を利用して乗り切る感じで。
私もtodorokiさん主観に同感で、(ELV4物質(あるいはRoHS6物質)は分析必要ですがそれ以外の)GADSLや主成分90%の部分は分析は不要で、ルールに従って上流より提供された情報の範囲で下流へ伝達していくというのが基本になるかと。
以上、参考までに。
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