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環境Q&A

含有試験における検出限界と定量下限について 

登録日: 2009年02月18日 最終回答日:2009年02月28日 水・土壌環境 地下水/土壌汚染

No.31334 2009-02-18 21:45:52 ZWla61d たそがれ

以前からこのサイトでもたびたび議論されてきたテーマであること、また、いろいろな定義があろうことと思いますので、今回はかなり条件を絞った形でお聞きします。

一般に、検出限界なら試料と同様に操作した空試験(あるいは極低濃度)の繰り返し測定の3σや3.26σあるいは底質調査方法でt(n-1,0.05)×標準偏差、等が示されています。また、定量下限についても、10σ、や14.1σ、その他、くり返しCVが十分小さくなる濃度(水道)等があるようですが、お聞きしたいのは含有試験の場合なんです。
私は今まで、それを試料中濃度に換算(含有量にスケールアップ)するものだと思っておりました。
ところが・・・ある知り合いの試験所では実試料の繰り返し測定の標準偏差から検出限界や定量下限を求めているんです。
金属を例にとると、試料を5回、前処理から操作し、5.0mg/kg 5.3mg/kg 4.7mg/kg 4.9mg/kg 5.4mg/kgの値が得られたとしたら、その値の3σや10σが検出限界、定量下限になると理解しているようなんです。
実態に即していないと思うのですがこういう方法もあるのでしょうか。

皆さんのご意見をお聞かせください。

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No.31337 【A-1】

Re:含有試験における検出限界と定量下限について

2009-02-19 08:33:27 XJY (ZWlba48

 実試料の繰り返し標準偏差は分析操作と試料のばらつきを含んだものになると思います。定量下限値は分析操作のばらつきのみで決めるのではないでしょうか。
 含有試験の場合は試料採取量により下限値が異なってくると思います。
よって、検査目的の基準値の1/10と決める(10σ等以上を確認)。または、指定された方法により10σ等(分析操作)以上で決めています。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。
この程度にテーマを絞ってもかなり難解な問題であろうと思っています。
「実試料の繰り返し標準偏差は分析操作と試料のばらつきを含んだものになると思います。定量下限値は分析操作のばらつきのみで決めるのではないでしょうか。」
上記のコメントは検討するにあたり大きな要素ですね。
実試料ではその他いろいろな不具合があるだろうと頭をひねっているところです。

No.31338 【A-2】

Re:含有試験における検出限界と定量下限について

2009-02-19 09:13:00 みっちゃん (ZWl8a13

>私は今まで、それを試料中濃度に換算(含有量にスケールアップ)するものだと思っておりました。
>ところが・・・ある知り合いの試験所では実試料の繰り返し測定の標準偏差から検出限界や定量下限を求めているんです。

 たそがれさんらしくない。いや逆にたそがれさんらしいのかも・・・

 計測理論から考えれば論議の余地はないと思いますが・・・

 定量下限は計測値の精度の観点から、検出限界は計測ブランクとの有意差の計測から判断する値です。ただ括弧書き内のスケールアップは外挿可能な範囲内であることが必要条件になりますが。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。

早い話が、実サンプルの繰り返しでは駄目にきまっているだろう、という解釈でよろしいのでしょうか。
少なくとも検出限界については計測ブランクとの有意差、と考えると実試料の繰り返しでは・・・?とも思っています。
定量下限については少なくともそういう方法もあり、か決定的にダメなのか、という観点からしばらく考えてみようと思います。


No.31339 【A-3】

Re:含有試験における検出限界と定量下限について

2009-02-19 09:55:20 火鼠 (ZWl8329

私の認識が間違っていたら、ごめんなさい。
まず、分析数値は、基準の1/10を補填できるものでなくては、はならない。(計量法)(最近の要求は1/100ではないかと思う)
この辺は、JISでの分析法を選定している時に、考慮されているのではないでしょうか?ですから、金属素材の分析JISは、Mだ、Hだと金属ごとに区分けされているのでは、ないでしょうか?
ですから、底質含有分析の場合、色々なマトリクスが多いなんだかわからない試料では、試料ごとに定量下限が変わる場合もありえるのでは?その補填が、実試料でのばらつきを考慮して、定量限界、定量下限が変わることもあると、思います。
ただし、10個の試料の鉛分析を頼んだとして、@は、0.1Aは0.01Bは0.5未満と出したとしたら、お客さんは、理解してくれるかは、かなり疑問です。でも、ありえると思います。これらを避けるために、溶媒抽出とかのクリーンアップをされて、数値の安定化をされているのではないでしょうか?
この、問題は、現場サイドの数値の認識と、顧客への対応の2つの問題をふくんでいるのではないでしょうか?
さらに、最近の分析では、表面分析を行って濃度を出す機械もあります。これらは、マトリクスが同一なら、問題は少ないと思いますが、
マトリクスが違う標準で作られた検量線で測定を行った場合、試料採取を増やすと、濃度が上がったり、下がったりするものも出てくるのではないかと思います>
ですから、実試料のばらつきから、定量下限を見るのは理にかなっているのではないかと感じます。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。
正直、あまり得手な分野ではないのですが、歳をとると小さな業界の精度管理責任者が廻ってきたりもします。そういう場でも議論のテーマにしようかと思っています。

例に挙げたのは分析目的項目が金属ということで金属材料にこだわっているわけではありません。底質や汚泥、肥料等なんでもよかったんです。
通常、基準値の1/10を確保できる方法でなければダメ、というのも心得ているつもりです。
今回お聞きしたいのは、自分の試験所ではどのくらい低いところまで出せるのだろう、という能力についてのことです。
皆さんの回答を参考にすると検出限界について実試料の繰り返しではちょっと・・・という感じがするのですが。
定量下限については火鼠さんのご見解通り、実試料ならマトリックスの影響も見れるような気がします。
しかし、同じ試料を等量、いくつか採取したつもりでも試料間のばらつきが反映されてしまう気もします。(A-1のご意見)
しかも、とんでもなく高い含有量がある汚泥があったら繰り返し標準偏差も大きくなるのでそれを基に計算したら大変だな、とも思います。

多くの回答をいただいたとしても簡単に自分のなかで結論付けられる問題ではない、と心得ています。

No.31356 【A-4】

Re:含有試験における検出限界と定量下限について

2009-02-21 19:02:19 火鼠 (ZWl8329

どうも、私の理解力が、足りないのと、思い込みの酷い性格の性が、みなさんに、失礼な事を言ってしまう様です。
わたしは、マトリクスの多いものは、できれば、分析方法の違う2つのもので精度を見るべきだとの、持論を持ってます。いくら、原子吸光で、再現性がある。!と言われても、じゃ〜、試料量変えて(濃度ばらかして)、ICPでみてみれば〜とか、そのようにすると、たまに、とんでもないデータをもらえることがあります。マトリクス影響のない成分なら、極端な話(そんなことはできないとはおもいますが)100倍濃度が違ってもばらつきは、変わらないのではないかと思ってます。ですから、濃度が変わると、ばらつきも変わるということは、夾雑物が、何らかの影響をしていると思うのです。測定物質の濃度が高くても、単位量のばらつきは、分析機器が、精度を持っていれば、比例的な誤差を出すのでは、ないでしょうか?比例的な誤差しか出さないとすれば、夾雑物の影響は少ないのではないでしょうか?(この辺が、F検定ではないでしょうか?すいません。算数良く知らないので、詳しい方宜しくお願いします)
ようするに、濃度の違う同一試料で、分析値が違うのは、夾雑物の影響があることがわかるので、後処理として、その数値が使えるか、使えないかまでわかるのでは。そうなると。分析法の選定もきまり、下限。限界も、すっきりするのではないかとおもいました。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。
マトリックスの問題、よく理解できます。
A-6のお礼欄にまとめて書かせていただきます。

No.31374 【A-5】

Re:含有試験における検出限界と定量下限について

2009-02-22 22:07:33 おせんち (ZWlb24a

>分析に当たっては、何時も付いて回る用語です。しかし、誰でもが、とうの昔に理解をして使っているものと思っていました。実は、恥ずかしながら、私も、正確には知りません。回答者の内、詳しく知っている方は、馬鹿らしくて噛み砕いて説明する気にもなれないという風情です。
 S/N比に関連する問題なので、評価方法は、1種類に限らないのが普通です。したがって、どの方法で評価したかを承知していれば混乱しないはずです。国で採用している方法は、ご承知とは思いますが、厚生省医薬安全局審査管理課長通知の医薬審第338号平成9年10月28日付け「分析法バリデーションに関するテキストについて」に詳しく説明されています。国内の分析機関の多くがこの手法を引用しています。勿論、依頼者のニーズに合わせて、これよりも厳しい?方法を採用している民間の分析機関もあります。
 試験に供した実試料の量、マトリクスの相違等によりゆらぎが生じるでしょうがおおざっぱには、それらによる変動は、取り込まれているはずです。厳密に対応する場合は、個々状況に応じて判断することになるのでしょう。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。
医薬審第338号、確認させていただきました。
含有試験における下限についてはH13環境省の底質調査方法だけしか見ていませんでした。
少し時間がかかりますが、筑波山麓さんへのお礼欄にまとめて書かせていただきます。

No.31380 【A-6】

Re:含有試験における検出限界と定量下限について

2009-02-23 20:28:17 筑波山麓 (ZWl7b25

「たそがれ」さんへ。

「ある知り合いの試験所」は、「値が得られれば、その値の3σや10σが検出限界、定量下限になる」という自分勝手な解釈で「検出限界や定量下限」を求めることができる科学的な根拠をお持ちなのでしょうか?その求められた値そのものの検証をどのようにお考えなのでしょうか?

この論理でいけば、「ある知り合いの試験所では」、JISその他の公定法も必要ないでしょう。自分勝手な検証手段・解釈で作成した分析方法も科学的な方法で開発したと宣言して報告書に記載しても良いというのと50歩100歩ではないでしょうか?少なくとも、分析・測定を業とするものがどのような理由があろうとこのようなことが正しいと考えていらっしゃることが理解できません。

この試験所の計量責任者の力量・人格その他を疑います。おそらく、他人の言うことに聞く耳もたない方のように思えます。今はインターネット等で情報が氾濫している時代です。少しでも勉強され、世間一般の考え方を知り、真面目に取り組まれた方が上記のような考えにいたるとは考えられないです。

「みっちゃん」さんのいわれるとおり、「計測理論から考えれば論議の余地はない」ことです。「火鼠」さんの言われる「底質含有分析の場合、色々なマトリクスが多いなんだかわからない試料」は、「特異性」で考えることであり、「検出限界、定量下限」とは関係ないことです。味噌と糞を一緒にしてはいけません(失礼、私の出身地方の諺で、大意は整理整頓しなさいという意味です)。

「おせんち」さんのいわれる『厚生省医薬安全局審査管理課長通知の医薬審第338号平成9年10月28日付け「分析法バリデーションに関するテキストについて」に詳しく説明されています。国内の分析機関の多くがこの手法を引用しています。』だけでなく、世界のすべての機関が科学的な正しい統計的手法を使用しています。「回答者の内、詳しく知っている方は、馬鹿らしくて噛み砕いて説明する気にもなれないという」のレベルの問題です。

もし、この考え方で良いということになれば、自分勝手な解釈でどのような定量下限値でも、場合によっては、実際の検出下限値よりも低い定量下限値(笑笑……)も設定可能です。

当該試験所が計量証明事業所であれば、(可能かどうかは別として)監督行政に計量責任者の再教育、および行政指導をお願いしたいところです。

No.31436 【A-7】

Re:含有試験における検出限界と定量下限について

2009-02-27 19:31:45 筑波山麓 (ZWl7b25

「たそがれ」さんへ。

私も以前、医薬品および医薬品関係の開発業務に従事し、試験し、申請データを作成し、直接厚生省に申請する業務を、順次、12年間従事してきました.その経験から言うと、「おせんち」さんの紹介された「分析法バリデーションに関するテキストについて」よりも、AOACの方法が歴史があり、国際性その他で勝っております。AOACの方法の一例を簡略ながら、以下にご紹介します。

適用性(applicability)
選択性(selectivity)
検量線(calibration)
精確さ(accuracy)
精度(precision)
範囲(range)
定量限界(limit of quantification)
検出限界(limit of detection)
感度(sensitivity)
堅牢性(ruggedness)

ここで、検出限界(limit of detection)は、Std.0の10重測定、各Std.の2〜5重測定を行い、Std.0の平均値+3σを検量線に挿入し、算出します。定量限界(limit of quantification)は、Std.0の平均値+10σを検量線に挿入し、算出します。この測定を3回以上繰り返し、すべてを満たす値を求めます。

また、各Std.の5重測定を統計処理し、Std.0(10重測定)と有意に識別できる濃度を検出下限値、倍々希釈の隣りあう各Std.が有意に識別できる濃度を定量下限値とする方法もあります。

また、既にご存知の上水試験の方法で算出する方法もあります。他にも、種々の方法があります。

要は、科学的な公的に認められた方法で、自分の試験にもっともふさわしい方法を選択することが肝要です。決して、独りよがりの自分だけの方法に固執してはいけないのです。

回答に対するお礼・補足

「筑波山麓」さんへ

ありがとうございます。AOACの方法、確認したいと思います。
もうひとつ回答をいただいていますのでそのお礼欄で今の考えを整理したいと思います。

No.31438 【A-8】

味噌と、糞を一緒にしてしまう馬鹿からひとこと。

2009-02-27 19:56:22 火鼠 (ZWl8329


底質等の主含有物不明でも、分析値が安定してだせるのでしょうか?
定量下限も、定量限界も、その他の影響があるからかわるのでは?
JISどうり、やったから、こんだけの範囲におさまってます〜なんて、ありえない。(今風の分析屋は多いけど)ま〜。。良くわからない人間がごねるのは、よくないでしょうけど。JISは、単品(ほとんど準品の分析手法)底質とは?(底質成分について)規格あるのですか?(なんでもありではないでしょうか?)そんなものの分析に、JIS規格の判定で、標準だけのデータで云々言われちゃたまりません。ほんとに、再現性あるんですか?定量下限は、かわらないんですか?

回答に対するお礼・補足

火鼠さん 皆さんへ
装置の性能のみではなく、方法検出限界、方法定量下限を対象に考えているのですが、火鼠さんのお考えをまったく排除できるわけではない、というのも今の気持ちなんです。
たとえばプラスチックを基板とともに分解した液をICPにかけたときなんか、両脇の特大ピークで絶対絶命なんてこともありました。
その辺は、超純水中の単元素で下限を確認したものと次元が違いすぎて、はたしてマトリックスの影響は別議論か、という疑問もありました。
確か以前、下限値の計算に使うブランクは目的物質のみを含まず他のマトリックス成分はすべて試料と同じものを含むもの、と聞いたことがあります。(絵に描いた餅だと思いますが)
更に、食品分野などはマトリックスの影響を加味する意味で陰性対象品(目的物質を含まないもの)に低濃度の目的物質を添加してばらつきをみる方法もやられているようです。これも微量重金属や農薬にはできても主成分には無理でしょう。また、環境試料、特に汚泥なんかは、微量重金属も含まれているから駄目だと思いますが。
ただ、H13年環境省の底質調査方法ではそうではないんです。

いろいろ矛盾はあるようでも最近の流れとしては、より国際的なものを容認せざるを得ないのでしょうね。
高濃度の実サンプルの繰り返しなどは論外だと思っていますが、この分野、正直不得手ですので今後もよろしくお願いします。 

No.31444 【A-9】

Re:含有試験における検出限界と定量下限について

2009-02-28 16:02:55 おせんち (ZWlb24a

>火鼠さんの言いたいことは、痛いほどよく分かります。既出の歯切れ良い回答をいただいても、疑問は解消できないでしょう。統計学の計測理論の上では、自明の理なのでしょうが、環境関連物質の測定では、どうも収まりが悪いことがしばしばあります。火鼠さんの疑問と共通するかどうか判りません。以前経験したことを不確かかも知れませんが書かしてもらいます。

 実務においては、行政、事業者、処理業者、分析者、研究者などそれぞれが少々異なった見解をもっていると思っています。溶出試験方法が法令に取り込まれた頃、関係者から相談を受けて行政、分析者、研究者、専門家に何度も見解を伺って回り、それぞれの立場の確固たるお答えを頂きました。しかし、相互に整合しないことが多々ありました。当時も、廃棄物等の検出限界、不検出、ND、定量限界、定量下限、検出しないこと(定量限界を下回ること。)などの解釈に少々のゆらぎがありました。

 罰則を伴う規制基準に「検出しないこと(定量限界を下回るこ。)」が定められている限りは、分析機関によって定量下限値が異なっては、たいへん不都合なわけです。分析法が進歩しても、法定のJIS K0102等に掲げる定量下限値をそのまま採用せざるを得ません。

 検出限界、定量下限については、標準試料を用いた分析機器そのものの値、実試料の前処理を含めた一連の分析操作総体における値又は廃棄物・底質・土壌のように測定された結果を対象の現物に正確に換算できないような値があるようです。

 底質・廃棄物等でマトリクス、夾雑物の影響を避けるために、目視・手作業・ふるいで夾雑物を除去し、それを数倍から30倍程度に希釈した試料で含有量を検定しますが、その測定結果が定量下限値ぎりぎり以下の場合、元の試料も定量下限値以下と言えるかどうか疑問が生じます。希釈して測定したときは、希釈調整した検液の定量下限値に希釈倍率を掛けた値が希釈前の物の定量下限値になるのかどうかはっきりしません。

 火鼠さんの御苦労は、人知れずやり繰りをして、しのいでいるはずです。なぜか知りませんが埒が明かないのです。これまで知らぬが仏で過ごしてきました。ここには、書ききれないほどの疑問を抱えています。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。
火鼠さんも見ておられるでしょうか。

私の今の考えは前のお礼欄に書きこんだとうりです。
徐々にですが国際的な規格に合わせようとする風潮にあるようです。
食品などは分析法そのものも公定法を打ち出すのではなく、精度管理等妥当性の確認がしっかりしていればなんでも良い、という方向にもあるようです。(やり方を示さないのはある意味保身だと思うのですが)

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