一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

環境Q&A

原子吸光 妨害など... 

登録日: 2008年05月25日 最終回答日:2008年05月27日 水・土壌環境 地下水/土壌汚染

No.28108 2008-05-25 12:50:24 ZWl9e47 勉強中ママさん

こんばんは。度々質問させていただきます。

ファーネスでカドミと鉛の分析をしています。
今回しつもんさせていただきたいのは、高濃度で検出された場合の対処方法です。

測定方法としては、標準法ではなく検量線法でしています。
補正は、BKG-D2でしています。

あたしとしては、補正の方法からバックグランドによる妨害はないのではないかと・・・

チューブは高密度を使用しています。
ホルダやキャップは取り替えときがきたらDATAにでるからと言われていますが、少し欠け始めています。
もちろんチップは変えています。
試料は抽出はしていません。

ここで確かに出ているとしていいかを判断するのにはどうしたらよいでしょうか?
n=xは最終手段にしたいのですが。

私は標準法にしてみる。
チューブの種類を変えてみる。
この場合変えるならプラットフォーム型がよいのでしょうか。
  
ご指導宜しくお願いします。

総件数 6 件  page 1/1   

No.28113 【A-1】

Re:原子吸光 妨害など...

2008-05-25 08:02:53 たそがれ (ZWla61d

ここまで業界用語がわからないのにこんなに探究心のある方はめずらしい、と感じました。
いろいろな考え方があろうかと思いますが、私にはひたむきさが見えてきます。

ママさんへ
質問内容が何とでも取れてしまうんです。例えば・・・
・検量線の上限、下限がわからない。また、サンプル濃度がそれを超えたらどうするの
・標準添加はしなくていいの
・バックグラウンド補正はしているのだから妨害はないだろう
・チューブは何を使えばいいのか パイロかプラットホームか
・チューブの寿命はなんで判断するの

このうちのどれかですか。全部外れていますか。

最初と最後がまたつながりません。
「高濃度で検出されたら・・・標準法にしてみる」等
また、フレームレスではどんな水を分析されているかが議論の対象になるんです。だいたい、飲料水レベルなんですか。

ポイントがはっきりしないと一般論というか訓示的な回答ばかり付く傾向があります。
もうちょっと、質問内容を精査するよう頑張ってみてください。

回答に対するお礼・補足

早速のご回答ありがとうございます。
>・検量線の上限、下限がわからない。また、サンプル濃度がそれを超えたらどうするの

わかっております。
濃度を超えた場合またはぎりぎりの値の場合、それおそのままにとらえておしまいにするのでなく、本当にそのサンプルに検出されていると確信できるように値が出てくるまでの径路で考えられる妨害などを知りたいのです。
<・標準添加はしなくていいの
標準添加にすることによってマトリックスの影響をなくすことが出来るんですよね?
でもそれは抑制剤を入れて解消されているのとはちがうのでしょうか?

>・バックグラウンド補正はしているのだから妨害はないだろう 
目的元素以外の吸収はなくなっているのではないのでしょうか?

>・チューブは何を使えばいいのか パイロかプラットホームか
私が使用しているのは排水、土壌、地下水どれも高密度です。

>・チューブの寿命はなんで判断するの
寿命は回数で判断
表面の状態で交換しています。

今回高濃度がでたのは土壌の溶出です。
装置については測定の後の感度変動に問題はありません。
色々な考えうる妨害などを知りチェックすることで測定値に問題がないことを証明したいのです。
 
ご指導宜しくお願いします。

No.28114 【A-2】

Re:原子吸光 妨害など...

2008-05-25 15:24:53 筑波山麓 (ZWl7b25

「勉強中ママさんへ」

前々回の質問では、「たそがれ」さん、「なんちゃって計量士」さんが良い回答をされていたので回答をしませんでした。今回は見かねて回答します。かなり手厳しい回答です。あなたが大きなミスを起こさないために、このような回答をしますが、気を害さないで下さい。また、回答の内容から1000文字の制限では無理があるので、複数回に分けて回答します。

まず、質問の内容から「勉強中ママさんへ」がグラファイト炉原子吸光測定を適切に行える力量がないと推測します。今後、よほど精進されて自己研鑽に努められることを望みます。

グラファイト炉(ファーネス、フレームレスともいう)原子吸光測定法は、JISが絶対検量線法でなく標準添加法で記載されているように、まだまだ問題が多く、適切な測定のためには専門的な知識・経験を必要とします。私はContrAA700(シーケンシャル型原子吸光光度計、連続光源を使用する方法。申し訳ない、他にも同様な機器があると思います。1私企業を宣伝する行為は避けたいのですが、たまたま、この機器を占有で使用でき、長年解決できなかった多くの問題を一挙に解決することができたことと誤った情報を与えたくないので、敢えて記載します。お許し下さい。)等のような最新の機器でなければ、適切な測定が困難であろうと推測しています。とくに、妨害があった場合、絶対検量線法ではミスを犯す危険性が高いだけでなく、ミスそのものがあったことに気づかない、ミスの原因も分からないことがあることをご注意申し上げます。この点をご理解しておられますでしょうか?

No.28115 【A-3】

Re:原子吸光 妨害など...

2008-05-25 16:21:56 筑波山麓 (ZWl7b25

次に、各論です。

>検量線の上限、下限がわからない。また、サンプル濃度がそれを超えたらどうするの
>わかっております。濃度を超えた場合またはぎりぎりの値の場合、それおそのままにとらえておしまいにするのでなく、本当にそのサンプルに検出されていると確信できるように値が出てくるまでの径路で考えられる妨害などを知りたいのです。

絶対検量線法で実施する場合、よほど習熟した方でないと、妨害があったことすら分からないことが多いです。したがって、このようなやりとりそのものがあまり意味がないと思います。検量線の上限及び下限を適切に算出されておりますか?また、上限を超えた場合の手段を適切に定めていますか?希釈という手段でも妨害の有無及び内容をある程度推測可能ですが、ご存知ですか?通常、絶対検量線法では、標準液と試料の希釈直線が直線であり、かつ併行になるということが前提条件となっています。試料に妨害があれば、この前提条件が崩れ、妨害があることが分かる場合もあります。

>標準添加はしなくていいの
>標準添加にすることによってマトリックスの影響をなくすことが出来るんですよね?でもそれは抑制剤を入れて解消されているのとはちがうのでしょうか?

抑制剤を入れても、マトリックスの影響がすべてが解消されたわけではありません。このような応答及び何の疑いもなく絶対検量線法を採用されていることがあなたの勉強及び経験不足を物語っています。
また、標準添加法で実施すれば、妨害があったことは分かりますが、妨害の原因を知ることはよほど習熟した経験者でなければ難しいでしょう。
修飾剤(マトリックスモディファイヤー)の種類・用途も多々あります。マトリックスの影響・妨害排除だけでなく、感度増、定量範囲拡大等々多くの目的・機能があります。

>バックグラウンド補正はしているのだから妨害はないだろう。目的元素以外の吸収はなくなっているのではないのでしょうか?

もっと勉強をしてください。妨害によっては、「補正は、BKG-D2でしています」では不十分なケースも多々あります。とくに、「試料は抽出はしていません」場合では、絶対検量線の使用を考えると、妨害があっても気づかないケースがあるのでは!と思います。


回答に対するお礼・補足

丁寧なご回答感謝いたします。
グラファイトファーネス原子吸光法は今月から担当することになりました。経験、知識も無です。
その上でご指導、ご回答を頂ければ幸いです。

>上限を超えた場合の手段を適切に定めていますか?
それを考えるように言われました。
>希釈という手段でも妨害の有無及び内容をある程度推測可能ですが、ご存知ですか?
いいえ、存じていません。
検量線外だった→自動希釈または自分で希釈してはいるようにする。これが現状です。

>妨害によっては、「補正は、BKG-D2でしています」では不十分なケースも多々あります。
どのような場合でしょうか。
私は、まだメソッドを考えて変えて測定するレベルではありません。指定の測定方法で測定しているだけです。それではいけないと思い勉強中なのですが....

引き続きご返信します。

No.28116 【A-4】

Re:原子吸光 妨害など...

2008-05-25 16:54:00 筑波山麓 (ZWl7b25

>今回しつもんさせていただきたいのは、高濃度で検出された場合の対処方法です
>今回高濃度がでたのは土壌の溶出です。
装置については測定の後の感度変動に問題はありません。色々な考えうる妨害などを知りチェックすることで測定値に問題がないことを証明したいのです。

あなたの真摯な気持ちは分かります。フレーム原子吸光光度計を所有していますか?「高濃度で検出された場合」では、フレーム原子吸光測定で再確認されることをお奨めします。又はICP等の他の機器を使用することを推奨します。それが無理ならば、標準液及び試料をDDTC-Na・溶媒抽出等で有害金属を抽出し、水層に逆抽出後、グラファイト炉原子吸光測定を行ってください。この場合、標準添加法が難しい場合(標準添加法は絶対検量線法に比較し効率が悪い、操作が複雑、検量線がのりにくい等々があるので)、試料を溶媒抽出・逆抽でマトリックスをほぼ同じにしてありますので、絶対検量線法で実施するのであれば、以下の手法があります。@及びAは必ず、Bは必要に応じて実施してください。
@試料の2重測定(CV%で結果を評価する)
A試料9に標準液1の割合で添加した回収率試験の実施(回収率で結果を評価する)
B試料を4倍程度以上希釈したものを測定し、測定結果に希釈倍数を乗じる。(グラファイト炉原子吸光光度計の定量範囲から考えて4倍程度の希釈が妥当。希釈直線が良好であることを確認する、試料のマトリックスが変化しても同じ結果が得られることを確認する。)

以上ですが、料金を戴いて測定し、報告しているのですから、メーカー主催の講習会に参加する、種々の研修に参加する、メーカーのホームページに掲載されている種々の資料を読む、インターネット上の多くの論文・資料を読む等々、自己研鑽を積まれることを強く・強く望みます。

回答に対するお礼・補足

ICPの結果も参考にしたいと思います。
 
>標準液及び試料をDDTC-Na・溶媒抽出等で有害金属を抽出し、水層に逆抽出後、グラファイト炉原子吸光測定を行ってください。この場合、標準添加法が難しい場合(標準添加法は絶対検量線法に比較し効率が悪い、操作が複雑、検量線がのりにくい等々があるので)、試料を溶媒抽出・逆抽でマトリックスをほぼ同じにしてありますので、絶対検量線法で実施するのであれば、以下の手法があります。@及びAは必ず、Bは必要に応じて実施してください。
@試料の2重測定(CV%で結果を評価する)
A試料9に標準液1の割合で添加した回収率試験の実施(回収率で結果を評価する)
B試料を4倍程度以上希釈したものを測定し、測定結果に希釈倍数を乗じる。(グラファイト炉原子吸光光度計の定量範囲から考えて4倍程度の希釈が妥当。希釈直線が良好であることを確認する、試料のマトリックスが変化しても同じ結果が得られることを確認する。

上司(あまり質疑応答になりませ...が)に相談してみます。私自身今月入社のためまだ勝手もわからないのが現実です。
しかし、ここでのアドバイスは貴重で頼りにしております。こりずにアドバイス宜しくお願いいたします。

No.28118 【A-5】

Re:原子吸光 妨害など...

2008-05-25 21:43:28 筑波山麓 (ZWl7b25

すぐに返事が返ってきたので軽く驚きました。あなたの真摯な気持ちが分かり、大変うれしいです。返事の中の質問に回答します。

>妨害によっては、「補正は、BKG-D2でしています」では不十分なケースも多々あります。どのような場合でしょうか。私は、まだメソッドを考えて変えて測定するレベルではありません。指定の測定方法で測定しているだけです。それではいけないと思い勉強中なのですが....

以下は、インターネットの「原子吸光分析法の原理(Atomic Absorption Spectrometry,AAS)」です。とりあえず、原子吸光測定の基本的な原理についてはこれでご勉強ください。インターネットを検索すればまだまだ多くの資料があります。
http://www.shse.u-hyogo.ac.jp/kumagai/eac/ea/aas.htm
また、下記の島津、日立のホームページからアプリケーションデータ(分析例等)が入手可能です。このアプリケーションデータは参考になります。また、修飾剤についても多くの例が記載されており、勉強になるでしょう。
http://www.hitachi-hitec.com/science/index_product_related_info.html
http://www.shimadzu.co.jp/products/index.html

重水素ランプ補正の問題点については、上記の資料中に以下の記載があり、参考になると思われるので掲載します。
「偏光ゼーマン法は、試料中に含まれ測定を妨害するバックグラウンド成分を補正する方法のひとつですが、その精度や補正能力において、他の方法をはるかに凌駕した方法です。他の補正方法である重水素ランプ法(D2法)や自己反転法(SR法)は、通常の光源ランプ(ホローカソードランプ(2))以外に補正用の重水素ランプなどが必要になるとともに、測定対象の元素によっては補正が不可能な場合があります。偏光ゼーマン法は、通常の光源ランプ(ホローカソードランプ(2))だけで、全元素のバックグラウンド成分を補正できます。補正用のランプを用意する必要がないだけでなく、測定開始までの時間が短いという特長を有するので、トータルのランニングコストを大幅に節約することが可能です。」

重水素ランプは連続光源であり、ゼーマン補正より劣ると一般に言われており、私の経験した一例では高濃度の塩化ナトリウム溶液(推定千ppm程度以上)中の重金属測定で補正しきれなかった例があります。修飾剤の工夫等で影響は排除できましたが、絶対検量線法では気づかずにいた可能性が高いです。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございました。
これからもっと勉強していきたいと思います。

上司に標準添加法も教えてほしいとの話をしました。
それ以外にもアドバイス頂いたことを相談しましたが
どう考えているのかわかりませんが(ご自分の仕事も忙しいのからか)良いアドバイスはいただけませんでした。何分未経験に近いのでかなりくやしかったです。

これから装置を扱いながら色々試してみるしかないなと思います。
またご指導お願いいたします。

No.28133 【A-6】

Re:原子吸光 妨害など...

2008-05-27 23:15:55 たそがれ (ZWla61d

勉強中ママさんへ
筑波山麓さんの回答を重く受け止めてください。
私からは補足だけにさせていただきます。

ICP発光やフレームAAがあるのに排水までもフレームレスAAでさせている組織にもいささか疑問を感じておりますが、いずれにせよバラツキの要因と真値からのかたよりの要因をどう取り除くか、の整理が大事なんです。まだ、かたよりとバラツキをいっしょに考えられている気がします。

文面から推察すると、溶媒抽出などの用語もわからないのではないかと思います。バックグラウンド吸収以外に物理干渉、化学干渉などの問題もあるのですがそんな用語、聞いたことありますでしょうか。
例えば、「このようなケースで標準添加は必要か?」、と問われてもまず原理の説明をし、そのあとやっと各論、ということになってしまいます。
その意味で書籍等で基礎を固められることをお勧めしているんです。
個別の対応、いわゆるQ&A的なものも出ていますがその前に基礎的な入門書をお勧めします。
私が独断で推薦したいのは以下の3冊です。
日本規格協会編  詳解 工場排水試験方法
日本分析化学会編 現場で役立つ化学分析の基礎
日本分析化学会編 現場で役立つ環境分析の基礎

また、お使いのフレームレスAAは国産S社製ではないでしょうか。S社では「原子吸光とICPの上手な使い方」というわかりやすいセミナーを毎年実施しています。機会があれば参加されることをお勧めします。

最後になりますが、内容が壮大にならないよう常にワンポイントという形をとりながら、どうぞこのサイトを有効活用してください。
わかることがあれば私もお答えします。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございました。基礎から勉強していこうと思います。
またよろしくお願いします。

総件数 6 件  page 1/1