環境負荷物質への対応について
登録日: 2007年02月23日 最終回答日:2007年03月10日 ごみ・リサイクル グリーン購入
No.21342 2007-02-23 05:03:16 弱小メーカー
製品をいろいろな流通ルートで販売しており、エンドユーザーさんには大手電機メーカーもあります。
最近、RoHSの対応状況の確認のみならず、環境負荷物質の含有量調査ということで、メーカーさんの依頼が殺到しております。
各社さんの環境負荷物質リストの内容はJGPSSIなどに、ほぼ準拠されているようですが、それでもやはり向け先毎に異なったものです。
当社としては、樹脂メーカーの材料を加工しているだけですので、対応の如何はすべて樹脂メーカーさん次第、ということになり、エンドユーザー殿の調査依頼のリストをそのまま、樹脂メーカーさんにお願いせざるを得ない。
ところが、最近になって、プラスチック商社をとおして、樹脂メーカーより「貴社に対してはすでに2回以上の調査報告を提出しているので、今後は対応しない」旨、申し入れがありました。
現在までのところ、ICPとMSDSの提出のみで、対応しているのですが、新規採用は難しくなっております。
含有物質を正確に把握したいユーザー殿の要望も理解できるし、いろいろなルートから、様々な形で調査依頼を受ける樹脂メーカーのご苦労も理解できる。
しかし、樹脂メーカーの調査依頼拒否は正当なものだと言えるのでしょうか?
最近ではMSDSの提出まで、拒否するようになってしまったのですが、これも正当なものなのでしょうか?
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No.21352 【A-1】
Re:環境負荷物質への対応について
2007-02-23 23:10:09 matsu (
>各社さんの環境負荷物質リストの内容はJGPSSIなどに、ほぼ準拠されているようですが、それでもやはり向け先毎に異なったものです。
*ご自身が困っておられるのならば、一定の回答で勘弁してくれるよう調査元に交渉したらいかが。
>当社としては、樹脂メーカーの材料を加工しているだけですので、対応の如何はすべて樹脂メーカーさん次第、ということになり、エンドユーザー殿の調査依頼のリストをそのまま、樹脂メーカーさんにお願いせざるを得ない。
*自分で分析に出すなり、標準型の回答書を作るなりできるのではないですか。
>ところが、最近になって、プラスチック商社をとおして、樹脂メーカーより「貴社に対してはすでに2回以上の調査報告を提出しているので、今後は対応しない」旨、申し入れがありました。
*あなたのところに似たようで少しづつ違う要求を繰り返ししてくるメーカーさんがいたら、いい加減にしてくれということになりませんか?
>
>現在までのところ、ICPとMSDSの提出のみで、対応しているのですが、新規採用は難しくなっております。
>
*JGPSSIの不使用証明書を標準にして回答し、ICPのような過剰で高価な要求は最小限にすべきです。この目的ではMSDSは筋違いな対応では?。ユーザーが要求しているのは対象物質の管理体制で特定ロットの情報だけではないので、御社の管理体制に問題があると思われているかもしれませんね。
>含有物質を正確に把握したいユーザー殿の要望も理解できるし、いろいろなルートから、様々な形で調査依頼を受ける樹脂メーカーのご苦労も理解できる。
*適正な管理体制構築が本筋です。ユーザーの一部が、不必要に正確な状況開示を要求して、経済産業省ににらまれてますね。
>しかし、樹脂メーカーの調査依頼拒否は正当なものだと言えるのでしょうか?
*BtoBの対応としてはごく普通だと思います。
>最近ではMSDSの提出まで、拒否するようになってしまったのですが、これも正当なものなのでしょうか?
*何度も出しなおせという要求をしていれば、更新はないといわれます。安衛法通知要求やJISZ7250 2005への更新要求なら考えますが。
>
回答に対するお礼・補足
matsu様
ご回答ありがとうございました。
おそらくmatsuさんは素材産業側の立場の方だと思われますが、当社の特有の問題では無いという事がわかり、とても参考になりました。
我々のような規模の小さい製品メーカーであると、どうしても大きなメーカーさんの要求が正当なもののように捉えてしまうことが多いのです。
当社の場合、某樹脂メーカーの単一銘柄のみを使用したプラスチック製品ですので、管理体制もなにもないのですが、新製品への採用をして貰うには、正確なエビデンスを求められることが多いのです。
顧客が求めているのは、単に書類であって、工場の監査をするわけでもありません。
顧客によっては「調査なんかしなくていいから、おたくの名前で回答書をだせ」という要求もあり、産業構造をふくめたすべての管理体制を問われているように思われます。
その意味では、「JGPSSIの不使用証明書を標準にして回答し、ICPのような過剰で高価な要求は最小限にすべきです」というアイデアは筋がとおっていて、そのような方向性で産業界が纏ると助かります。
いずれにしても、樹脂メーカーさんの「対応する・しない」という硬直した対応では仕事がとまってしまいます。
ビジネスなのですから、「1物質あたり、幾ら」というような、公平で明確な費用化をしていただければ、コストバランスを考えて検討ができるようになり、
大手の樹脂メーカーと大手の電機メーカーの間に挟まれる企業としては助かるのですが、如何なものでしょうか?
No.21367 【A-2】
Re:環境負荷物質への対応について
2007-02-25 16:23:43 筑波山麓 (
「弱小メーカー」さんの規模が分かりませんので、適切な回答になるかどうか分かりませんが、RoHSへの標準的な対応方法を箇条書きで説明します。
@「matsu」さんの言われるとおりMSDSで対応はできません。目的が違います。
ARoHS及び環境負荷物質の含有量調査には、ICPではなく、まず「蛍光X線測定」で測定できるものはこれで実施すべきです。Cd、Pb、Cr(6−Cr)、Hg、Br系難燃剤等は蛍光X線測定を行い、検出されたもののみをICP等の精密分析を実施すべきです。
B日常、低く、かつ、適切な料金で測定してくれる測定事業者と付き合いしておく。排水、ばい煙測定を依頼している計量証明事業者でも良いですが、ISO/IEC17025取得業者が望ましい。分析を依頼しなくても、相談をしてみると専門家の回答が得られ、参考になるでしょう。分析業者も仕事につながる可能性があるので、親身になって相談にのってくれるでしょうし、2〜3社程度の測定業者と常に接触しておくことも必要です。
C依頼する試料が多い場合は、数ppmのレベルまで測定できる蛍光X線測定装置を購入する。蛍光X線測定でしたら、ICP,ICP−MS、原子吸光分析などのような化学分析装置に比較して、高度な技術を要しません。価格も千数百万円程度です。1検体2万円で、年間200検体依頼しておれば、3年で元をとれます。また、メーカーの指導を受ければ、短期間で素人の方でも測定できるようになります。購入する蛍光X線装置は、低レベルまで計測できるSIIナノテック社、日本メーカーでしたら島津製作所、日立製作所等からカタログを取り寄せ、総合的に判断する。ただし、測定下限値を重視する必要があります。将来、基準値は低くなるでしょうし、「プラスチックであったら10ppmまで測定可能であり基準値の1/10まで測定可能」等のカタログ記載数値は信用できません。プラスチックで10ppmでしたら、金属は場合によっては100ppmまで測定できませんので、注意を要します。
回答に対するお礼・補足
筑波山麓様
貴重なご意見ありがとうございました。
RoHS対応証明にICP以外にも測定方法があるとは知りませんでした。
どうしても大手さんはICPの提出を前提にされることが多いので・・・。
中にはSGSをご指定のところもあったりと、結構大変です。
蛍光X線であれば、複雑な前処理が入らなくなりそうですね。
ロット毎の自主検査、というような話になった場合、ご提案頂いたアイデアが非常に有効になります。
ありがとうございました。
No.21381 【A-3】
Re:環境負荷物質への対応について
2007-02-26 13:28:07 wazin (
まずプラの材料の場合、ロットが有るかと思いますが。ロット毎の測定データ・成分データを求めると言う事なら、それは当然の権利かと思います。もし材料メーカー側が毎ロットのデータを出せない場合でも、ロット毎に成分の変化が無い事を保障出来なければ商品として成り立たないと思いますが…。
ただ少し勘違いしておられる様に思える部分が有ります。あくまでも樹脂メーカーが保障するのは、貴社に納入される材料としての保障です。それを加工した後の貴社の製品については、貴社が保障すべき事かと思います。
プラの加工の場合、例えばそれが射出成形だった時には、スクリュー内の汚れや破損・金型のグリス・材料投入時の管理など、単一材料の使用であっても異物混入の可能性はゼロとは言えないと思います。
貴社のユーザー様が求めておられるのは、どこの樹脂メーカーのどんな樹脂を使っているかではなく。恐らく貴社の製品が、ユーザー様が求める品質に合致したものであるかだと思いますが。
回答に対するお礼・補足
ご意見ありがとうございます。
ご指摘はごもっともであります。環境負荷物質の混入の問題は、品質管理の問題とも密接な関係にあります。
しかしながら、弊社において、現在問題となっておりますのは、エンドユーザー殿の「環境負荷物質調査依頼表」へ記入して返却する、という点においてのみです。
完全に、書類のみの調査であり、品質管理などについては、調査の対象とはされておりません。
顧客の調査対象が「プラスチック材料」ではなく、「弊社の製品」であることも十分理解しているのですが、環境負荷物質が「意図的に」添加されるタイミングは、樹脂メーカー殿における樹脂製造工程と、プラスチック加工時の着色剤・添加剤である場合がほとんどであるため、「樹脂メーカー殿の証明」+「添加剤メーカーの証明」がもっとも有効な証明方法になり、その提出を求められます。
工程内での、異物の混入の可能性を100%否定することはできませんが、頻度・濃度が低いことに加え、少なくとも「意図的な」混入では無いので、この場合については、これは顧客のご要求の範囲外なのです。
また、RoHSの6物質のみの対応であれば、自社において分析を行うこともやぶさかはありませんが、エンドユーザー殿のご要求は通常、2000-7000物質におよびます。
その中には、現在、規制を受けていないが、将来規制の対象となる可能性もあるから、という物質まで含まれます。
(回答の手間のみならず、製造ノウハウまで開示することになりかねず、樹脂メーカー殿が拒否するのも理解はできます)
対象の化学物質の慣用名は、同じ物質であっても少しずつことなっており、CAS No.も曖昧なリストもあり、また秘密保持協定にも抵触するため、1つの向け先のリストを他へ転用することは事実上不可能です。
もちろん、弱小メーカーゆえの信用力のなさ、が隠れた理由なのでしょう。
しかし、理論的に問題の無い製品であるに関わらず、紙切れ1枚を提出できないために採用されない、という現状は担当者としては非常に残念なのです。
No.21591 【A-4】
Re:環境負荷物質への対応について
2007-03-10 10:41:18 meso (
>産業構造をふくめたすべての管理体制を問われているように思われます。
この要求は基本的に理に適っています(乱暴な言い方ではありますが・・・)。顧客は原料がRoHSに適合しているかではなく、完成品がRoHSに適合しているかを要求しているからです。当然ですが、RoHSに適合しているかという質問は同時に御社の管理体制も問い合わせているのです。通常は書類審査(紙ぺら一枚)のみかと思いますが、一旦RoHS非適合品が混入していたということが客先で発覚すると、兆大は監査資料が送られてきて、御社の管理体制についての回答を迫られる場合があります。それに回答できなかったり、樹脂メーカの調査回答しかありませんとなると、工場監査するしかないですねという流れになってしまいます。少なくとも、樹脂メーカーさんのロットごとの成績書はきちんと保管管理し、そのロットが御社のどの製品のどのロットに使用されたかがわかるようにしておく必要があるかと思います。完成品から定期的に抜き取って、分析機関でデータを取っておくということができるようであれば、かなり管理しているというように受け止められると思います。
分析装置が導入できればベストですが、プラスチックがほとんどの原料となると、蛍光X線だけでは不十分です。難燃性樹脂にはBrが含まれているものが多数あり、Brが閾値を超えた場合それがPBB・PBDEの分子を構成しているものなか判断が必要になり、さらにガスクロなどの分析装置も必要になってしまいます。ICP-AESやICP-MSも揃えるとなるととてつもない金額になり、外部機関に数万払った方が安上がりになるかもしれません。
長々書いてしまいましたが、貴社のRoHSに対する管理体制が構築できた段階(=基準類ができた段階)で、樹脂メーカさんから入手した材料証明書を元に貴社でJGPSSIなどのフォーマットに記入して回答すればよいと思います。ただし、材料証明書には6物質くらいしか記載がないかと思いますので、一度樹脂メーカーさんにJGPSSIに記入してもらったらいかがでしょうか(貴社でコンパウドしているのであれば顔料・染料メーカさんにも同様に)。
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございました。
正直なところ残念ながら、当社の営業力ではエンドユーザー殿である大手電気メーカー殿のご要求を直接聞くことはできません。
いままでは、販路である商社殿のご指導にしたがっていた訳であるのですが、弊社の今までの皆様のご回答からすると本質的なポイントが外れていたようです。
目先、採用をとるための場当たり的な対応となっていたのかもしれません。
ただ、当社の製品はエンドユーザー殿1件あたり年間10万円以内の売上であるものがほとんどですので、コスト的には現状の書類審査でも見合わないのが実情です。
当社のような自社標準品を市場に小ロット供給するパーツメーカーはかなりの数があります。
大手さんではやりきれないような、小ロット部品を小回りを利かせて安価に供給するのが、我々の市場における役割なのですが、自社の力では昨今の調査の要求にしっかり答えていくにはコスト的にも対応が難しいのが実情です。
この様な調査コストが見合わないような部品は非常に多くのメーカーが様々な製品を流通させており、色々な製品に採用されている点、ご留意ください。
私の知る限り、同業者も樹脂パーツについては樹脂メーカーの6物質不含有証明(入手できればICP)とMSDSでの対応を行っているようです。
(というより、これしかできない。一回分析に出しただけで1年分の売上に相当する場合も多い)
ちょっと目的は違うのですが、「ポリオレフィン等衛生協議会(ポリ衛協)」という組織があり、ここに登録されプラスチックを使用すれば食品安全衛生法を満足出来るようになっているそうです。
加工メーカーは(ポリ衛協)のプラスチックを、間違いなく無添加で使用している、という証明を行うだけで、別に分析をする必要もなく、市場に流通させることが出来ます。
この方法であれば、樹脂メーカーの手間も一回ですみ、小ロット製品もコストの問題なしに流通させることができます。
RoHSの6物質に限って言えば、国内の樹脂メーカーのプラスチックを使用すれば含有される心配がないことは複数のルートから確認しております。
(着色剤などの添加剤を使用しなければ、という条件付きですが)
ポリ衛協のプラスチックと同様な扱いでも、技術的には可能なはずです。
グリーン調達の大切さは誰しも理解できることなのですが、リーズナブルな運用でなければ、社会には浸透しないと考えます。
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