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環境Q&A

ICP発光光度法のカドミウムについて 

登録日: 2006年08月17日 最終回答日:2006年08月27日 水・土壌環境 その他(水・土壌環境)

No.17984 2006-08-17 06:27:27 リンリン

底質の含有試験について、ICP発光光度法ではかなりの数値がでたのに、原子吸光光度法では定量下限値未満(不検出)でした。10年位毎年調査している場所で、カドミウムがでるはずないところなのですが。原因として考えられることがあればお願いします。

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No.18016 【A-1】

Re:ICP発光光度法のカドミウムについて

2006-08-20 16:23:41 くま吉

 ICPの場合、目的元素の発光線と別の元素の発光線が重なることがあります。
 今回の場合は、カドミウムと共存元素の発光線が重なることで異常に高い濃度を示したことが考えられます。それがどんな元素かは、資料が無いので不明です。

No.18020 【A-2】

Re:ICP発光光度法のカドミウムについて

2006-08-21 11:03:40 らぴ


先ず、本当にカドミウムか、妨害物質によるものかを確認する必要があると思います。
 カドミウムスタンダード液とサンプル水で、
 ICP発光分析計のカドミ分析でスチャンデーターをそれぞれ取り(プロファイル)、スタンダードとサンプルを重ねあわせて、プロファイル頂点波長の位置が異なっていれば、妨害物質と考えられると思います。
 またサンプルに、カドミウム標準を予想量より多めに添加して、プロファイルを取ってピークが2つに分かれるか、重なってサンプルより高いピークになるかを見るのも良いのかもしれません。
 何か参考となればと思います。
 

No.18041 【A-3】

Re:ICP発光光度法のカドミウムについて

2006-08-22 21:26:53 りんごあじ

実際に私も同様の体験をした事があります。

底質の含有試験の前処理液には鉄が多量に含まれるため、
鉄とカドミウムのピークとかぶってしまったのではないかと思います。
ICP発光分光法では、カドミウムの波長と鉄の波長とが近くに存在するため、このようなことが起こります。
原子吸光ではこのような妨害はないようです。
鉄の多いサンプル中のカドミウムをICPを使って測定するときは、
・カドミウムの波長を複数とって測定する
・溶媒抽出を行ってなるべく鉄の妨害を除く
などの対策をとる必要があるのではないかと思います。


No.18114 【A-4】

Re:ICP発光光度法のカドミウムについて

2006-08-27 18:00:18 筑波山麓

>底質の含有試験について、ICP発光光度法ではかなりの数値がでたのに、原子吸光光度法では定量下限値未満(不検出)でした。10年位毎年調査している場所で、カドミウムがでるはずないところなのですが。原因として考えられることがあればお願いします。

一般に、ICP発光分光法では妨害があることが多いです。「りんごあじ」さんの言うとおり、カドミウムだけでなく、鉛に対する銅の妨害等、多くの元素に対して、種々あります。対象元素ごとに複数の波長(3波長程度)を取り、かつ、プロファイルで妨害その他を確認する作業が欠かせません。3波長取るのは、妨害がある波長を避けて、妨害のない波長で測定するためです。

これで妨害があることを確認され、感度の関係で(鉛は波長によって、感度が大きく相違する)、他の波長による測定ができない場合、又は、3波長とも妨害がある場合等は、溶媒又は固相抽出で妨害を除去する必要があります。溶媒又は固相抽出の操作が負担ならば、原子吸光光度法で測定することも選択肢の一つです。

プロファイルの確認の仕方は、「らぴ」さんの言うとおりです。ピークの頂点位置及びピークの形状で判断します。これは、すぐに習熟でき、慣れれば一目で妨害の有無が分かるようになります。

しかし、いままで10年位毎年調査しているところで、今回のみ、カドミウムが検出されたとのことなので、試料中の妨害物質が今年だけ存在するということは考えにくいので、原因はほかにあるのではないでしょうか。『担当者が変わり、このようなICP測定技術が伝わらなかったのでしょうか』、それとも、『事前の検討なしで測定機器を原子吸光光度計からICPに変更されたのでしょうか』、はたまた、『事前の検討なしで、又は担当者が勝手に測定方法(抽出操作等の前処理)を変更されたのでしょうか』、及び/あるいは、『従前の結果との検証なしで報告されたのでしょうか』、私には本当の原因はこちらの方にあるように思われます。もし、こちらの方が真の原因ならば、このような誤りを繰り返す恐れが「大」ですから、早期に解決する必要があるでしょう。

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