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環境Q&A

セレンの分析前処理について 

登録日: 2006年04月12日 最終回答日:2006年04月23日 水・土壌環境 水質汚濁

No.16068 2006-04-12 04:07:25 はかる

セレンを分析する際に前処理の加熱分解はどのようにしていますか。測定は水素化ほう素原子吸光で行っています。前処理中はSeYの酸化状態で揮散しないように、また分析するときには水素化セレンが発生するようにSeWの還元状態にするのだとイメージしてはいるのですが、実際の操作としてどのように気をつけると回収率高く分析できるのでしょうか。

現状は2.5g焼却灰に硝酸、硫酸、過塩素酸添加で白煙ののち
塩酸(1+1)7.5ml、シュウ酸カリウム(300g/l)5mlで
25mlにメスアップしています。塩類や鉄などが多く含まれています。

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No.16231 【A-1】

Re:セレンの分析前処理について

2006-04-23 01:31:39 筑波山麓

誰も回答しないので、回答します。
すでにご存知と思いますが、平成10年度環境測定分析 統一精度管理調査結果−模擬水質試料(平成11年3月、環境庁企画調整局環境研究技術課)にセレンの調査結果が掲載されています。
そのセレンの項のまとめに、「硫酸及び硝酸による分解では、硫酸白煙の発生を確認して、水素化セレンの発生を妨害する硝酸を十分に追い出しておく必要がある。特に低濃度レベルのセレンを対象にする場合には、標準液の分析感度を適正に調整し、硝酸の追い出しを十分にしておかないと、棄却された分析結果に見られるように、不検出や非常に低い分析結果が得られやすい。」とあります。ビーカー等を使って、硝酸の追い出し操作を行うとき(硫酸白煙発生時)、ビーカー上部の温度が低いと硝酸の蒸気はビーカーの壁を伝わってもとに戻りますので注意してください。硝酸の追い出しが完了しているかどうかを確認するためには、ビーカーに時計皿等でふたをし、ブルシン−硫酸ペースト(ブルシン粉末約3mg+無水硫酸ナトリウム約3g→ガラス乳鉢で混合→濃硫酸を適量加え練る)のついたガラス棒等をかざして、ペーストが黄色くなる(まだ硝酸が残ってる)かどうかを見るのも一方法です。
次に、W価への還元操作についてですが、還元剤については、強すぎると金属セレンまで還元されますので、注意してください。臭化カリウムの還元力は弱いので、塩素化物などの酸化性の化合物があるときには注意してください。
鉄等の重金属類の共存は、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を消費するので「負」の誤差を与えます。鉄100ppmの共存でセレンは10%低下するといわれています。鉄の妨害を防ぐためにシュウ酸カリウムを加えますが、非常に多いときは標準添加法を用います。
以上です。

回答に対するお礼・補足

筑波山麓様 詳しい解説をありがとうございます。前処理は奥深いですね。精進します。お礼が遅くなってしまいすみません。

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