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環境Q&A

CODCrの塩素に関しての妨害、CODの酸化率に関して 

登録日: 2006年02月09日 最終回答日:2007年01月20日 水・土壌環境 その他(水・土壌環境)

No.14631 2006-02-09 10:54:29

塩素に関して検水で0.1%未満で妨害があるのでしょうか?
CODCrの検査において塩素の妨害が現れる濃度に関してご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。
他にCODCrの妨害物質又は極少量で100℃未満で蒸発して強い酸化性のある物質が存在するのでしょうか?
私は現在水処理施設の計画をしています。
現在計画中の施設の使用材料及び廃液の分析を行った結果が下記のようにCODMnがCODCrより大きい値がでました。
MSDSによると含まれているのはSiO2、アミン、KOH、NH4OH、水で99パーセント以上を構成しています。
考えられるのはどのような場合でしょうか。
材料と廃液の比率を検討すると実験の大きな過誤はないと考えて良いと思います。
   CODMn CODCr TOC  PH SiO2 アミン  
資料A 39400 20800 37100 11.7 17%  7% 
A廃液  4010  2120  3250 10.6
資料B  3880  3180  9520 11.6 18%  2%
B廃液   379   277  1020 10.4
資料C  8550  6360 17200 13.7     3% 有機物 1%
資料D  4010  3380  1650 10.5 18%     KOH 1%
D廃液   344   276   169 10.1
他にこのような経験をされた方はいらっしゃいませんか?
原因が思いつかないのですが。
それともアミンに強い酸化力があるのでしょうか、アミンのCODを計った経験のある方若しくはアミンに詳しい方のご回答もお待ちしています。
只、MSDSからするとアミンが含まれていない場合も逆転しています。また多量の妨害物質というのも考えにくいです。
同一資料を再分析した結果です。
CODMn 資料A再 40900、資料B再 4040、資料D再 4110
別の分析機関での資料A再分析の結果です。
CODMn、31700、38600、34300
CODCr、17100、26000、33000
別途参考として以下の分析値を得ております。
25%程度のH2O2、CODMn170000mg/l、CODCr140000ppm、
1%アンモニアCODMn<0.5mg/l、1%KOHCODMn1.45mg/l。
Mnが酸化でなく還元により消費されるような特殊な条件になっていると考えて、今回含まれていると推定されるアミン以外(アミンに関しては製造者が情報開示しないので再現試験(余りにも種類が多すぎて)をしていません)の物質で確認しても、条件が再現しないので何が混入しているのか、性状又は条件だけでも確認したいのです。

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No.20400 【A-1】

Re:CODCrの塩素に関しての妨害、CODの酸化率に関して

2007-01-14 16:16:47 筑波山麓

「光」さんへ。新年の挨拶ありがとう。ネットでいただいた質問に対する回答が遅れて申し訳ないです。

さて、この質問は回答しようとしていて時間がなくそのままにしていたものの一つです。かなり仕事熱心な・専門的な方の高度な質問と思っておりましたが、まさかあなたの質問とは思いもしなかったこと、また、質問への十分な回答ができませんでしたので、そのままにしておりました。以下に回答しますが、この程度で申し訳ないです。

まず、既にご存知のことと思いますが確認のためにあらためて書きます。COD-Crは酸化力が強く、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素及びピリジン及びその誘導体以外の大部分の有機物は「約95%以上」分解されます。亜硝酸塩、硫化物、鉄(U)塩などの還元性物質は「正」の誤差となり、塩化物イオンは硫酸水銀(U)の添加でマスキング(塩化物イオン40mgに対して硫酸水銀0.4gの割合)しますが、多量にある場合はマスキングできません。また、試料の取扱い及び測定操作はCOD-Mnと同様に保管条件及び規定された反応条件を正しく守る必要があります。

質問の表をみて、COD-MnがCOD-Cr及びTOCより高い結果であることに興味を持ちました。アミンには脂肪族第一、第二、第三、不飽和、脂環式、芳香族等がありますが、構造式及び性状からいずれもTOC計で測定できると考えます。したがって、COD-MnがTOC及びCOD-Crより高いことから(A及びD)、COD-Mn測定が異常であると考えました。

その原因として、COD-Mn測定の酸化力が不十分なため、アミン分解生成物としてCOD-Mnの妨害物質(正の誤差を与える)が生成する、又は/及び、脂肪族第一アミン、芳香族第二あるいは第三アミンをハロゲン化アルキル又はハロゲン化ベンゼンを作用させて製造する工程で製造していれば、不純物としてハロゲン化水素、ハロゲン化アルキル又はハロゲン化ベンゼン(分解中にハロゲンを生じる)が存在している可能性があり、塩素のマスキングが不十分であると考えました。

一方、アミンの構造式と濃度が分かれば、酸化率100%としてCOD値を計算し、計算値よりCOD-Mnが高値であれば、異常はCOD-Crでなく、COD-Mnであると分かりますが、情報開示されないとのことですし、装置があればアミンの構造式及び分子量測定も考えられるのですが、その方法も機器・技術を持っていないことからここでは現実味が薄いようです。

No.20560 【A-2】

Re:CODCrの塩素に関しての妨害、CODの酸化率に関して

2007-01-20 13:08:42

筑波山麓 殿
 御回答ありがとう御座います.PCの具合が悪く,御返事遅れて申し訳御座いません.

>その原因として、COD-Mn測定の酸化力が不十分なため、アミン分解生成物としてCOD-Mnの妨害物質(正の誤差を与える)が生成する>
>
 これに関しては,以下の参考意見があります.
『アミンは還元剤になることはあっても、酸化剤になることはありません。特に、揮発性の、ということは分子量の低い、アミンにおいては酸化性を示すものはありません。
アミンの窒素が酸素化された、アミンオキシドという物質があり、これは酸化剤としてよく使われるものです。しかし、その沸点は一般に非常に高く、最も分子量の低いもの(トリメチルアミンオキシド)であっても揮発性は全く持ちません。
アミンオキシドは、アミンがある特殊な酸化剤で酸化されて生成するものです。アルカリ性溶液中で勝手に生成することはありません。』

 今後,検討するならば,やはりこの当を追求すべきなのでしょう. 

>、又は/及び、脂肪族第一アミン、芳香族第二あるいは第三アミンをハロゲン化アルキル又はハロゲン化ベンゼンを作用させて製造する工程で製造していれば、不純物としてハロゲン化水素、ハロゲン化アルキル又はハロゲン化ベンゼン(分解中にハロゲンを生じる)が存在している可能性があり、塩素のマスキングが不十分であると考えました>
>
 塩素に関しては,当初から考えていた妨害でした.唯,原液の塩素量が0.1mg/L以下で希釈を考えると妨害範囲にはなり得ないと考えておりました.
 また,既知の物質を1%の塩素溶液に投入し希釈した場合のCODMn計測値も,有意と呼べる差は出ませんでした.
 分解して生成する塩素は考慮しておりませんでした.今後同様な場合には第一に考慮すべき点と思います.

 小生としては,分析結果で一番嫌らしく思っているのは以下の点です.
『只、MSDSからするとアミンが含まれていない場合も逆転しています。また多量の妨害物質というのも考えにくいです。』

 残念ながら,この排水の検討は一年前の物件で,現場も竣工し,再度検討を行うことはできないのですが,心の隅に澱のように気になった現象なので,新年にあたり一応の整理を付けたく不躾な御願いを致しました.
 重ね重ね御回答に感謝いたします.

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