焼却炉のダイオキシン類・ばいじん規制値について
登録日: 2005年08月04日 最終回答日:2005年08月08日 環境行政 法令/条例/条約
No.11792 2005-08-04 12:06:56 Void
教えてください。
廃棄物焼却炉のダイオキシン類規制値については、処理規模ごとに決まっておりますが、この処理規模について、
厚生省生活衛生局水道環境部監修「ダイオキシンの排出削減に向けて」においては、「(注)施設の規模ではなく、燃焼室(炉)の規模によって基準値が設定されている・・・」となっています。
一方、ダイオキシン類対策特別措置法施行令において、特定施設の対象となる最低規模については、「焼却能力(廃棄物の焼却施設に2以上の廃棄物焼却炉が設置されている場合にあっては、それらの焼却能力の合計)」とあり、この法律上の処理能力の定義はこれを準用すると考えられます。
規制値を設定する場合にはどちらの考え方を正とすべきなのでしょうか?
ばいじんについても処理規模ごとに規制値がありますが、この場合についても、炉ごとなのか施設ごとなのか不明です。
どなたかわかる方教えてください。
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No.11805 【A-1】
Re:焼却炉のダイオキシン類・ばいじん規制値について
2005-08-04 20:09:07 JK (
この「施設」の意味が一般の「施設」と異なるのではないでしょうか。
一般には、「施設」=「炉」です。
回答に対するお礼・補足
ご回答頂きまして、ありがとうございます。
呑み込みが悪くて申し訳ないのですが、一般的に「施設」=「炉」と考えたとき、同一工場に2施設(炉)廃棄物焼却炉がある場合は、その合計を「焼却能力」とすると考えてよろしいのでしょうか?
大気汚染防止法のばいじんについては施設(炉)数に関する記載が見つからないのですが、同様な考え方になるのでしょうか。根拠となる条文等がありましたら併せてご教示ください。
No.11808 【A-2】
Re:能力の算定方法
2005-08-04 22:08:50 JK (
昭和52年厚生省回答[一体として機能する埋立地]
問 同一の設置者のもとで、同一の地域に複数の産業廃棄物の最終処分場がある場合、これを全体で一つの最終処分場と解してよいか。
答 産業廃棄物の処理施設の能力とは、有機的に一体として機能すると考えられる施設の総体の能力を意味するものである。当該事例のような最終処分場の場合にあって、施設が一体として機能するとは、当該施設の設置者が同一の者であること、地形的に最終処分場が連続していること、又は同一の施設若しくは付帯設備(管理棟、搬入路、埋立機械、浸出液処理設備等)を共用すること等の観点から当該施設の状況を総合的に勘案して判断すべきものである。
従って、その施設全体が一体として機能すると判断される場合においては、その全体を一つの最終処分場として取り扱うことが可能であると解する。なお、この場合にあっては、個々の最終処分場の面積を合計したものを最終処分場の面積としては握すること。
http://www.nippo.co.jp/re_law/re7j18.htm
(合計した処理能力)
問64
(一体としての機能)
問65
(一体として機能する埋立地)
問66
(埋立地の増設)
問67
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございました。
旧厚生省の考え方は「その施設全体が一体として機能すると判断される場合においては、その全体を一つの処理施設とみなす」ということですね。
法律というのはそういうものなのかもしれませんが、素人としては、条文などにもっと明確に記載して欲しいと思います。
勉強になりました。ありがとうございました。
No.11813 【A-3】
Re:焼却炉のダイオキシン類・ばいじん規制値について
2005-08-05 02:54:30 循(じゅん) (
>厚生省生活衛生局水道環境部監修「ダイオキシンの排出削減に向けて」においては、「(注)施設の規模ではなく、燃焼室(炉)の規模によって基準値が設定されている・・・」
廃棄物処理法の改正(平成9年)により、焼却施設の設置許可の規模の考え方が変わりました。(法施行令第5条、第7条等)
従来:一日当たりの処理能力が五トン以上
改正:一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上
又は火格子面積が二平方メートル以上
たとえば、一時間当たり600kgの焼却能力があって、一日の稼働時間が8時間の焼却炉であれば、一日あたりの施設の処理能力は
600kg×8時間=4800kg<5トン
ですから、法改正前は施設許可の対象ではありませんでした。法改正後は燃焼室の規模で判断しますので、設置許可対象となります。
また、一般廃棄物の焼却施設におけるダイオキシンの削減については、法規制前に厚生省から「ガイドライン」が示され、これにより対応していました。
そこには「連続運転かバッチ運転か」により規制値が違っていました。
法の改正により、「焼却施設の能力に応じた規制値」が適用されることとなりました。
後段の複数の燃焼室を有する焼却施設の考え方も、平成9年の法改正通知で示されています。
「平成9年9月30日廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部改正等について」
(一部抜粋)
「第2 設置許可が必要な廃棄物の焼却施設の範囲の見直し
1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第8条第1項若しくは第15条第1項の許可又は法第9条の3第1項の届出が必要な廃棄物の焼却施設に該当するかどうかは、施設ごとの処理能力又は火格子面積により判断されるものであること。例えば、複数の燃焼室を有する焼却施設にあっては、燃焼室の処理能力又は火格子面積を合算したものにより判断されるものであること。」
例えば、時間当たり120kgの焼却炉単体では法対象未満ですが、これを2基並べて使用する場合には、
120kg×2基=時間当たり240kg>200kg
となって、法規制対象となります。
ダイオキシン特措法では、それまでの廃棄物処理法による規制と大気汚染防止法による規制の両方の考え方を合わせ持っていますので、そのような記述になっていると伺いました。
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございました。
旧厚生省も省庁改編のタイミングでで考え方が変わったということでしょうか。
大防法は旧環境庁管轄だったように記憶していますが、同じような考え方をするべきなのでしょうね。まぁ、普通に考えたら同じ工場内にあったら合算すべきなのでしょうね。
勉強になりました。ありがとうございました。
No.11834 【A-4】
Re:施設の範囲
2005-08-05 20:36:10 JK (
1 ・・・第15条第1項の許可・・・が必要な廃棄物の焼却施設に該当するかどうかは、施設ごとの処理能力又は火格子面積により判断されるものであること。例えば、複数の燃焼室を有する焼却施設にあっては、燃焼室の処理能力又は火格子面積を合算したものにより判断されるものであること。
→付帯設備(煙突など)が共通の場合
当然に同一施設内にある複数の炉(燃焼室)
2 複数の燃焼室が同一の設置者の下で近接して設置される場合には、廃棄物供給設備や煙突等が独立している場合であっても施設の構造や焼却する廃棄物の種類等からみて、それらが一体として機能していると判断されるものは1つの施設として捉え、それらの処理能力又は火格子面積を合算したものにより、・・・第15条第1項の許可・・・が必要な廃棄物の焼却施設に該当するかどうか判断されるものであること。
→付帯設備が異なる場合
一体として機能しているかどうかの判断が必要
一体として機能していない場合は別の施設
>厚生省生活衛生局水道環境部監修「ダイオキシンの排出削減に向けて」においては、「(注)施設の規模ではなく、燃焼室(炉)の規模によって基準値が設定されている・・・」
読んだことがないので不確かですが、この「施設」、「規模」の意味が特殊なような気がします。
「規模」=「能力」とすると、「施設の能力」と「燃焼室(炉)の能力」が異なることになります。
稼働時間などによって「施設の規模」は異なるが、物自体である「燃焼室(炉)の規模」は稼働時間などによって異ならないという意味ではないでしょうか。
すると、施設の能力の算定の仕方が従前と異なるという意味になります。
回答に対するお礼・補足
お二人のご意見を総合すると、やはり規制は厳しい方で解釈せざるを得ないようですね。
勉強になりました。ありがとうございました。
No.11859 【A-5】
Re:焼却炉のダイオキシン類・ばいじん規制値について
2005-08-08 03:53:05 循(じゅん) (
省庁改編で変わったわけではありません。
「ダイオキシンを撒き散らすな」
という世論があって、焼却炉をどう規制していくかを検討していた時のことです。
環境庁はダイオキシン及びばいじんの規制値を検討。
厚生省は廃棄物処理法の適用を検討。
焼却炉のダイオキシン対策については、旧厚生省の生活環境審議会廃棄物処理部会で検討していました。http://www1.mhlw.go.jp/shingi/seikatu.html#seikatu
廃棄物処理基準等専門委員会の平成8年から9年あたりの議事録を見ていただくとよいと思います。
焼却能力200kg以上は大気汚染防止法の届出が義務付けられていましたが、当時廃棄物処理法の処理基準が適用されるのは許可対象規模以上(一日の能力が5トン以上)という状況でした。
先にお示しした事例の焼却炉(600kg)では、大気汚染防止法の届出対象施設であっても、廃棄物処理法の適用外でした。無秩序な焼却行為がなされていても、有効な指導ができないということから、焼却施設の規模の見直し(「一日あたり」から「時間当たり」へ)がなされたものです。
これにより、かなりの数の焼却施設に廃棄物処理法が適用されるようになりました。
また、同時に「構造基準」「維持管理基準」が強化されたために、市町村も民間業者も大規模な改修工事が必要になったのです。
厚生省の資料はこのときのものです。(平成9年改正法)
その後、ダイオキシン特措法(議員立法)が成立したことにより、大気汚染防止法からダイオキシンの規制関係が除かれました。(特措法に移行)
なお、ばいじんの規制も大幅に厳しくなったのですが、ダイオキシン対策によりバグフィルターなどの高度な集塵機を装備した焼却炉では、規制値を超えることはなくなっているようです。
もちろん、維持管理が不徹底なためにダイオキシンもばいじんも超過してしまう事例もいまだにあります。
回答に対するお礼・補足
お二人のご意見を総合すると、やはり規制は厳しい方で解釈せざるを得ないようですね。
勉強になりました。ありがとうございました。
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