一般財団法人環境イノベーション情報機構
大飯原発1号機のタンク変形、仮設ダクトホースの取付ミスが原因
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2004.07.13 【情報源】原子力安全・保安院/2004.07.12 発表
関西電力は定期検査実施中の大飯原発1号機で、燃料取替用水タンク(燃料の取出し・装荷時に必要な水を貯めておくタンク)上部の変形が確認された件について、原因と対策に関するの報告書をまとめ、平成16年7月12日に原子力安全・保安院に提出した。関電の報告によれば、タンク変形はタンクに取り付けられた仮設ダクトホースの取り付けタイミングを誤っていたことが原因。
ダクトホースはタンク内から排出される空気に微量放射性ガスが含まれる可能性があるため、排気を放射線管理区域に送り込むことを目的として取り付けられていたが、本来はタンクに水を張り水位が上昇している時にのみ取り付けるべきもの。しかし、今回はタンク水抜き前にホースを取り付けていたため、水抜きで水位が低下し、タンク内部の圧力が下がった際にたるんでいたダクトホースが傾き、ホースの一部が閉塞してしまっていた。その結果タンクへの空気の流れが遮られた状態で、さらにタンク水位が低下しつづけ、タンクが大気圧に耐えられなくなって内側に変形したとされている。
また、遠因として13年にタンクに仮設ダクトホースを取り付けた際の工事仕様書にホースを取り付けるタイミングが明確に記されていなかったこともあげられている。
なお対策としては、(1)タンクの変形が認められた範囲を同仕様の胴板に取り替え、次回定期検査時にはタンク内の圧力低下防止対策を施したタンクに取り替える、(2)タンク水抜き時にはダクトホースの取り付けを実施しないよう社内規定に反映させる、(3)仮設物取り付け工事実施時に工事担当課が実施する設計検証の内容を設備所管課が確認するよう「原子力発電所保修業務要領指針」を改訂する、(4)工事実施にあたって、工事担当課が注意事項を明文化し、協力会社を含む関係者全員に確実に周知するようにする−−などの内容が示され、原子力安全・保安院としてもこの原因と対策を妥当であるとの考えを示している。【原子力安全・保安院】