一般財団法人環境イノベーション情報機構
福島第2原発4号機の作業員意識不明事故 空気マスクへの窒素混入が原因
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2004.04.26 【情報源】原子力安全・保安院/2004.04.23 発表
東京電力は、第12回定期検査中だった福島第2原子力発電所4号機で平成16年3月26日に、廃材処理作業中の作業員2名が倒れ、救急車で近隣の病院に搬送された件について、原因と対策に関する報告書をまとめ、16年4月23日付けで原子力安全・保安院に提出した。報告によると、2人が意識を失った原因は、装着していたエアラインマスク(注1)へ空気を送り込んでいた空気供給系統の2つの弁に錆の固まりが付き、つながっていた窒素供給系統から窒素が混入し、酸素濃度が低下したためと判明した。
このため、対策としては(1)作業用空気供給系統と窒素供給系統をつなぐ配管を切断し、閉止栓を取り付ける、(2)エアラインマスクへの空気供給は専用の空気供給機を使用することにし、やむを得ず作業用空気を使用する場合は、監視員の配置、酸素濃
度計の設置など安全確保措置を講じる、(3)設備設計(変更)時に、人身安全の観点からの影響評価を行うことを設計管理マニュアルに明記するとともに、デザインレビュー委員会(注2)で審議する−−などの内容が示された。
なお、保安院は東電から示されたこの原因と再発防止策について、妥当であるとの評価を示している。
(注1)空気を供給する器具が附いている顔全面を覆うマスク。放射性物質や粉じんを吸い込むことを防止するために使用する。
(注2)設備の新設計、既存設備の変更をおこなう際に、内容や妥当性について検討・審議する目的で設置された社内委員会。【原子力安全・保安院】