ビスフェノールＡの魚類への環境ホルモン作用の疑い強まる　追加試験実施へ

【健康・化学物質 環境ホルモン】 【掲載日】2003.06.12 【情報源】環境省／2003.06.12 発表

　平成１５年６月１２日に開催された環境省の「内分泌攪乱化学物質問題検討会」で、ビスフェノールＡが魚類に対して内分泌攪乱（環境ホルモン）作用を持っている可能性が高いことが報告された。
　環境省は平成１２年度から「環境ホルモン戦略計画ＳＰＥＥＤ’９８」にリストアップされている内分泌乱物質の疑いがある６５の化学物質について優先順位の高いものから順次有害性評価を行うことにしており、１２年度は１２物質、１３年度は８物質を選定し、各物質について哺乳類、魚類を対象にした動物実験や試験管内試験を実施してきた。
　今回の検討会で有害性評価が審議されたのは、１２年度選定物質のうち、１４年６月までに判明しなかった哺乳類への３物質の試験結果と、魚類への５物質の追加試験結果、および１３年度選定物質のうちビスフェノールＡの哺乳類に対する試験以外の各試験結果。
　いずれの物質も、哺乳類に関する明らかな内分泌攪乱作用は認められなかったが、魚類に関する有害性評価の結果では、ビスフェノールＡで女性ホルモン受容体との結合性、肝臓中ビテロジェニン濃度、精巣卵出現、孵化日数で統計学的に有意な影響が認められたため、環境ホルモン作用を持つことを確定するために新たに約１８０日間・２世代にわたりビスフェノールＡにさらす試験を実施することが決まった。
　一方、１４年度６月の報告で精巣卵の出現が確認され、追加試験を行っていたフタル酸ジ−ｎ−ブチル、フタル酸ジ−２−エチルヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、アジピン酸ジ−２−エチルヘキシル、ベンゾフェノンの５物質や、残り７物質については明らかな内分泌攪乱作用は認められないと結論されている。
　検討会ではこのほか「環境ホルモン戦略計画ＳＰＥＥＤ’９８」の改訂作業を１５年度から２年計画で実施することが了承された。【環境省】