一般財団法人環境イノベーション情報機構
ドイツ、殺鼠剤の水生生物や生態系への影響調査を実施
【環境一般 調査/研究】 【掲載日】2025.06.13 【情報源】/2025.05.28 発表
ドイツ連邦環境庁(UBA)は、ドイツ連邦水文研究所(BfG)、バイエルン州環境庁(LfU)に委託して実施した殺鼠剤(ロデンチシド)による水生生物や生態系への影響調査の結果を公表した。これによると、野生の魚の肝臓から殺鼠剤成分が検出され、血液凝固障害、出血、貧血などすでに深刻な症状が出ていることが分かった。
また、交通事故で死んだカワウソの肝臓から、魚よりも高濃度の殺鼠剤成分が検出された。
カワウソは水域の食物連鎖の頂点におり、主に魚を食べていることから、殺鼠剤成分が食物連鎖を通じて生物に蓄積されることが分かった。
また、魚を食べる水鳥の肝臓からも殺鼠剤が検出されてており、これらの毒が環境中に蓄積されていることが示された。
殺鼠剤は都市部の下水道や河川の近くで使用されることが多く、水と接触すると溶解し、水循環に入り込む。EUでは殺鼠剤(ロデンチシド)の認可に関する評価が実施されており、最新の科学的知見をもとに見直しが行われる。
また、殺鼠剤の水域への流入するのを防ぐために、2026年以降、殺鼠剤の設置を目的とした防水性の毒餌箱の使用が水域で義務付けられる。
最新の研究によると、ネズミは短期間で繁殖することから、自治体によるネズミ駆除対策では化学的な方法は恒久的な解決策ではなく、ネズミから食料や巣の場所を奪う、市民と行政が連携した適切な廃棄物管理が有効であるとしている。
【ドイツ連邦環境庁】