一般財団法人環境イノベーション情報機構
六ケ所村の使用済燃料受入れ・貯蔵施設と再処理施設本体 トラブル可能性箇所1,011か所に
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2003.04.11 【情報源】原子力安全・保安院/2003.04.10 発表
日本原燃(株)は青森県六ケ所村の同社使用済燃料受入れ・貯蔵施設で起こった加圧水型軽水炉(PWR)の燃料貯蔵プール水漏水トラブル対応の進捗状況報告書を平成15年4月10日付けで原子力安全・保安院に提出した。日本原燃の使用済燃料受入れ・貯蔵施設内のPWR燃料用貯蔵プールは、13年7月以降5か月以上にわたって漏水が確認され、調査の結果、プール底部の溶接部分で寸法不足の内張り金属板を継ぎ足し部材で補い、その表層だけ溶接するような不適切な施工が行われていたことが原因であることが判明している。
対応の進捗情報報告は毎月1回提出しているもので、今回報告されたのは、使用済燃料受入れ・貯蔵施設内や再処理施設本体内のトラブル箇所と同じ内張り金属板をもつ設備に対する自主点検の調査状況と15年2月に新たに漏水が確認された燃料送出しピットの調査状況について。
このうち使用済燃料受入れ・貯蔵施設内での点検では、全溶接線延長の約82%の詳細表面点検を終了した3月29日の時点で、不適切な施工が行われた可能性がある不自然なグラインダ痕(痕跡を残さないよう研磨した跡)1,156か所を確認。うち758か所で溶接箇所に多く含まれるフェライト(磁性体)量を測定したところ、140か所に問題があった。また、鏡面仕上げを施しているため視覚によるグラインダ痕確認ができない喫水部では、対象箇所1,263か所中943か所でフェライト量測定を完了し、47か所に異常がみつかった。
一方、再処理施設本体の貯槽25基への調査では、3月28日までに点検対象溶接線長約9kmのすべてについてグラインダ痕確認とフェライト量測定を終了。確認された5,844か所のグラインダ痕のうち、フェライト量測定で問題があったのは824か所で、現在この824か所への超音波探傷検査を実施している。
フェライト量測定で問題がみつかったのは使用済燃料受入れ・貯蔵施設、喫水部、再処理施設本体あわせて1,011か所になる。
なお、燃料送出しピットの調査では建設工事時の関係者に施工手順の聞取り調査を実施。その結果内張り金属を切り、検知溝を作った後の肉盛溶接が不十分であったことが漏水の原因であるとの推測が行われた。
日本原燃では今後、使用済燃料受入れ・貯蔵施設内、再処理施設本体とも問題のある箇所の詳細調査、補修の必要性の有無などを総合的に評価していく方針。
なお原子力安全・保安院は、これらの点検が確実に実施されることを確認するため、検査官を派遣し、点検作業に立会わせる予定。【原子力安全・保安院】