一般財団法人環境イノベーション情報機構
大成建設、白金ナノ粒子を一様に分散・固定した高活性光触媒を開発
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2022.08.22 【情報源】企業/2022.06.16 発表
大成建設株式会社は、放射線法を用いて二酸化チタン表面にナノサイズの白金粒子を一様に分散・固定した高活性な光触媒を開発した。本光触媒は、空気中の様々な化学物質を高速に分解・除去するとともに、長時間にわたり浄化性能を維持でき、生産施設で発生が問題となる化学物質の排ガス処理、シックハウスガスや臭気の浄化等、幅広い用途への適用が期待される。光触媒を活用して空気中の化学物質を浄化する際、従来から白金等のナノ粒子を二酸化チタンに固定させることにより、分解性能が向上することは周知となっている。しかし、従来の方法では、ナノ粒子を一様に分散・固定させることが困難なため、所定の性能を得るためには、ナノ粒子の量を増やす必要があり、光触媒自体のコストアップにつながることが課題となっていた。
同社はこのほど、放射線法を用いて白金ナノ粒子を一様に分散・固定させ、課題を解決する高活性な光触媒を開発した。
多孔質の二酸化チタン粒状体に白金ナノ粒子を、従来法(含侵法)と放射線法を使いそれぞれ固定させた光触媒を用いて、クリーンルームで取り扱うイソプロピルアルコール(IPA)の除去性能を検証した。その結果、放射線法で製造された光触媒は、従来法による光触媒に比べ白金ナノ粒子の量が1/10と少量でありながら約5倍の除去速度を有することを確認した。
今後、同社は、本光触媒の優れた化学物質の処理性能を生かし、化学物質対策が求められる生産施設やオフィス、居住空間の空気浄化技術として更なる展開を推進していく。さらに、昨今、世界中で課題となっているウイルス不活化に対する本技術の有効性についても、その可能性を併せて検討する予定としている。
【大成建設株式会社】