一般財団法人環境イノベーション情報機構
東レ、高効率で水素分離可能な高分子分離膜モジュールを創出、50%以上のCO2排出量削減・省スペース化を実現
【エネルギー 燃料電池】 【掲載日】2022.03.24 【情報源】企業/2022.02.01 発表
東レ株式会社は、このほど水素を含む混合ガスから、水素を選択的かつ高効率に透過可能な高分子分離膜モジュールを創出した。開発品は、従来の分離膜モジュールと比較して、水素精製プロセスに必要なCO2排出量と、モジュール本数の50%以上の削減が期待でき、水素社会実現に向け、研究・技術開発を加速していく。
今回、逆浸透(RO)膜で培った技術を駆使して、水素親和性材料を導入することにより、細孔構造を高度に制御した分離膜を新たに開発した。開発した分離膜を用いた水素精製において、世界最高レベルの透過水素純度98%を実現した。これにより、これまで透過水素純度を高めるために複数回のろ過が必要だったところを、1回の分離で純度を高めることができ、従来の分離膜モジュールと比べ、初期投資が削減できるだけでなく、省エネルギー化が可能となり、CO2排出量を50%以上削減することが期待できる。
さらに、モジュール化に際し、主要構成部材の流路材を最適設計にし、流動抵抗を低減することで、無機分離膜モジュールと比べ、2倍以上の高膜面積化を実現した。これにより、モジュール1本あたりの水素透過性が向上し、水素精製プロセスに必要なモジュール本数を50%以下に削減できる。さらに、開発した分離膜を組み合わせることで、モジュール本数を75%以上削減でき、大幅な省スペース化が期待できる。
今後、国内外の各エンジニアリング会社との協力関係を構築しながら、水処理で培ったプロセス技術を用いて量産技術を確立していく。
東レは、「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」との企業理念のもと、「有機合成化学」、「高分子化学」、「バイオテクノロジー」そして「ナノテクノロジー」という東レのコア技術を駆使し、先端材料・革新技術を生み出し社会の発展に貢献していく。
【東レ株式会社】