一般財団法人環境イノベーション情報機構
日本製紙、石巻工場に建設したセルロースナノファイバーの量産設備が稼働を開始
【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2017.05.10 【情報源】企業/2017.04.25 発表
日本製紙が石巻工場(宮城県石巻市)に建設した環境配慮型の先端素材、セルロースナノファイバー(CNF)の量産設備が完成し、稼働を始めた。年間500tの生産能力がある。CNFを生産する設備「TEMPO酸化CNF」は、幅広い工業用途での実用化が見込まれる。量産設備の稼働を受け、事業化への展開を加速させる。CNFは、再生可能な森林資源の木材パルプをn(ナノ)m(100万分の1mm)レベルまで細かくした素材を指し、TEMPO酸化CNFは“TEMPO触媒酸化法”で化学処理した木材パルプから生産する。均一な幅の繊維が得られ、石巻工場の設備は3〜4nmのCNFが生産できる。TEMPO酸化CNFは透明でさまざまな機能を付与できる特長がある。
日本製紙は2013年に岩国工場(山口県岩国市)に年間生産能力30tの実証生産設備を設けて開発を進め、2015年に世界で初めてTEMPO酸化CNFに抗菌・消臭機能を加えてシートにした。グループの日本製紙クレシアが大人用紙おむつ「肌ケア アクティ」シリーズで実用化し、現在は軽失禁用ケア商品「ポイズ」シリーズにも使用している。
石巻工場に続いて富士工場(静岡県富士市)に、CNF強化樹脂の実証生産設備が6月、江津事業所(島根県江津市)に、食品や化粧品向け添加剤用途のCNFの量産設備が9月に、それぞれ稼働する。用途に合わせたCNFの製造技術と供給体制を確立する。石巻工場では、2018年3月の運転開始を予定して、石炭・木質バイオマス混焼の発電設備も建設している。
【日本製紙株式会社】