一般財団法人環境イノベーション情報機構
ブリヂストン、分子構造を高度に制御したゴムの合成に成功、次世代ゴムの実現へ
【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2016.12.16 【情報源】企業/2016.12.13 発表
ブリヂストンは、分子構造を高度に制御したポリイソプレンゴム(IR)の合成に成功した。天然ゴムを超える性能を持つ次世代ゴムの実現につながる可能性がある。バイオマス由来のイソプレン(天然ゴムの構成分子)も原料に使え、環境負荷を抑制する材料としての利用が期待できる。IRは合成ゴムの一種で、天然ゴムに似た化学構造を持つ。タイヤの原材料の天然ゴムは、合成ゴムより強度・摩耗性能や補強材との接着性能に優れる。世界的なタイヤ需要の拡大で消費量の増加が予想されることから、ブリヂストンは天然ゴム以上の性能があるゴムを人工合成する研究を進めている。今回、独自開発の重合触媒を使い、分子のミクロ構造の規則性が天然ゴムと同様に高いIRを合成した。
IRは従来、イソプレンからリチウム、チタン、ネオジムといった触媒で重合・製造するのに対し、ガドリニウム(Gd)触媒を使用した。Gd触媒でIRの分子構造が高度に制御できることは知られていたが、0℃以下の低温で使う必要があり、工業利用が難しかった。ブリヂストンは触媒の構造をデザインして40℃以上でIRの構造制御を可能にした。
このGd触媒はイソプレンをポリイソプレンに重合する能力が従来のGd触媒の約600倍となり、実用性も備える。合成したIRでタイヤ材料を作成して性能を評価したところ、低燃費性能と耐破壊物性で天然ゴムのタイヤ材料より優れていた。ブリヂストンは今後、実用プロセスの条件やイソプレンの安定確保を検討し、2020年代の実用化を目指す。【株式会社ブリヂストン】