一般財団法人環境イノベーション情報機構
東レ、リチウムイオン電池用の新たな導電助剤開発、高出力化・高容量化を実現
【エネルギー その他(エネルギー)】 【掲載日】2016.11.29 【情報源】企業/2016.11.25 発表
東レは、リチウムイオン電池用の新たな導電助剤を開発した。独自の表面処理技術を活用し、高出力化・高容量化を実現する。非常に薄い形状を維持しながら安定して分散する。導電助剤は、リチウムイオン電池の電極を形成する際に電極の抵抗を低減する目的で使われる。ユーザー評価を始めていて、今後、量産技術の開発を加速させる。電極は、化学変化でエネルギーを生み出す活物質、電極の抵抗を下げる導電助剤、これらを固定する結着剤で構成する。導電助剤にはカーボンブラック(炭素主体の微粒子)が利用されるが、高出力化や導電助剤の添加量低減による活物質増量(高容量化)が求められていることから、東レは薄く導電率が高い材料“グラフェン”に注目した。
グラフェンは炭素原子1個(1層)が蜂の巣状に結合したシート状の物質で、電気伝導性、機械強度に優れる。半導体の材料やディスプレー、フィルターなどの分野で活用が期待されている。しかし凝集しやすく、リチウムイオン電池の導電助剤に使用した場合、従来の技術では電極内で偏りが起き、高出力化・高容量化の効果が得られなかった。
東レは今回、グラフェンの表面に溶媒との親和性を高める独自の表面処理を施すことで、溶媒中に安定して分散するようにした。これを導電助剤に使うと、薄い層の状態で電極内の広い範囲に導電助剤を分布させられる。電池の高出力化・高容量化が可能なことを確認した。グラフェンは安価な黒鉛を原料に製造するため、コストも抑えられる。【東レ株式会社】