一般財団法人環境イノベーション情報機構
NEC、タイで洪水シミュレーションシステムを活用した実証実験を実施、効果を確認
【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2016.05.27 【情報源】企業/2016.05.23 発表
NECは、タイ北部で洪水シミュレーションシステムを活用して浸水区域を予測する実証実験を実施し、効果を確認した。同国の災害警報発出機関、国家災害警報センター(NDWC)と共同で行った。気象、地形、河川に関する各種データを基にシミュレーションし、浸水区域や最大浸水高などを最大7日先まで予測して実際の被害状況と比較した。タイでは洪水が頻繁に発生し、2011年のチャオプラヤ川の洪水では多くの工業団地やバンコクなどの都市部が被害を受けた。部品供給網が寸断されて世界経済に大きな影響を与えたことから、対策が課題になっている。NECは総務省から受託した「タイにおける洪水シミュレータの展開に向けた調査研究」で2015年11月〜2016年3月に実証した。
実証実験した洪水シミュレーションシステムは、洪水、土砂崩れ、地震などの自然災害を対象にするNECの「総合リスク管理システム」の洪水災害モジュールとなる。観測雨量、予測雨量の気象データ、標高値、土地利用用途の地形データ、河川網、水位、下水道網などの河川データに基づき、最大7日先まで1時間ごとにシミュレーションできる。
洪水発生前に危険地域に警報が出すことができるうえ、平時に洪水の危険エリアが把握できる。タイは土砂崩れも多く、NDWCは土砂崩れのシミュレーションにも期待しているといい、NECは今後も同国で防災ICT(情報通信技術)の高度化を進める。併せて、実証実験の経験とノウハウを生かし、洪水が多いアジア諸国でシステムの提案を進める。