一般財団法人環境イノベーション情報機構
東レ、ナイロン原料合成工程で使う光反応ランプをLEDに切り替える技術を開発
【エネルギー 省エネルギー】 【掲載日】2015.06.19 【情報源】企業/2015.06.16 発表
東レは、製造工程で使用するナトリウムランプをLED(発光ダイオード)に切り替える技術を東芝グループで照明器具の東芝ライテックと共同開発した。ナイロンの一種のナイロン6の原料を合成する工程の光反応に、従来はナトリウムランプを使用してきた。LEDに切り替えることで電力使用量を大幅に削減する。ナイロン6は繊維や樹脂として衣料品や産業資材、自動車、電機部品などさまざまな用途に利用されている。ナイロン6の原料である「カプロラクタム」の製造にランプから出る光子を活用するのは東レの独自技術である。東レはこの光反応技術を用いて年間約10万tのカプロラクタムを製造している。光反応用には東芝ライテックのナトリウムランプを使用してきたが、消費電力が抑えられるLEDランプの共同研究を2009年に始めた。2011年に生産機用LEDランプを完成させ、実機適用技術の開発を経て、2015年11月に既存設備の切り替えを本格的に始める。
カプロラクタムの製造で光反応を行うには、分子の結合エネルギーを解離させる光子エネルギーが必要になる。望ましい波長は可視光の中でも長波長の範囲で、今回それに適した波長の光になるLEDランプを開発した。
開発したLEDランプは市販のランプと比べて長さが約20倍、出力が6000倍あり、LED発光素子数は4万個と世界最大だ。この数の素子をランプの中にコンパクトに収めるには素子の高密度化とそれに伴う除熱、LED素子の過電流を防ぐ電流制御装置の極小化といった課題があったが、共同研究で実用化に成功した。電力使用量を30%削減する。【東レ(株)】