一般財団法人環境イノベーション情報機構
JXエネルギー・三菱化学など、蒸留工程で50%以上の省エネが可能な分離膜開発
【エネルギー 省エネルギー】 【掲載日】2013.06.27 【情報源】企業/2013.06.24 発表
JX日鉱日石エネルギー、三菱化学、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などは、石油化学工場の蒸留工程で50%以上の省エネを可能にする無機分離膜を開発した。JXエネルギーの川崎製造所(川崎市川崎区)に試験装置を設置し、2月から実際の環境で無機分離膜の性能評価を行い、200時間を超える連続運転を達成した。化学産業はエネルギーを大量に消費する産業とされ、その中でも分離や精製を目的にした蒸留工程は、化学産業全体の約4割にのぼるエネルギーを消費している。プロジェクトでは蒸留に必要な消費エネルギーを大幅に削減するための工程転換を目指し、膜を使って分離・精製する無機分離膜技術を採用した。
従来の代表的な無機分離膜は耐水性が低く、実用化の範囲が限られていることから、新たな膜を開発した。ナノレベルで結晶組成の最適化や結晶の成形技術の研究を進め、20%を超える水分を含む混合物から水を分離できるようにした。新開発の無機分離膜と従来の脱水方法の蒸留工程を組み合わせると、50%以上省エネできることを確認した。
川崎製造所では現在、連続運転1000時間以上に向けて分離性能と耐久性能の評価を続けている。今後、早期の実用化を目指し、規模を拡大した実証試験の実施を検討する。試算では、化学産業で将来、蒸留工程の約13%を無機分離膜に置き換えると、2030年には原油換算で約55万kLの省エネが可能になり、CO2排出量を約146万t削減できるという。【JX日鉱日石エネルギー(株)】