中国　今後5年間の中国環境保護投入需要とその重点分野

【エコビジネス その他(エコビジネス)】 【掲載日】2007.05.24 【情報源】中国／2006.02.20 発表

　第11次五ヵ年計画環境目標に基づき、「過去の負債を清算し、新たな負債を作らない」の原則にのっとり、第11次五ヵ年計画期間中、環境保護資金投入額は1兆3750億元、同時期GDPの1.6％を占めるとされている。これは第10次五ヵ年計画期間より6500億元増である。そのうち都市環境インフラ整備6600億元、工業汚染源対策2100億元、新規事業「三同時」環境資金3500億元、生態環境保護資金1150億元、原子力安全事業100億元、環境保護監督管理能力建設300億元になっている。
　上記第11次五ヵ年計画期間の環境資金需要のうち、特に環境監督管理能力建設、危険廃棄物処理、都市汚水処理、都市ゴミ処理、石炭火力発電所脱硫、国家重要生態機能保護区整備、国家級自然保護区能力建設の8事業を重点的に推進する。
[1]環境監督管理能力建設
　国家環境質モニタリングネットワーク整備、重点汚染源自動オンラインモニタリング、国家・省級突発的環境事故緊急対応体制整備、国家環境科学技術支援事業、全国環境情報「金環」事業、国家環境業務インフラ整備の6事業を重点的に進め、概算で国は80億を投じる。
[2]危険廃棄物処理
　「全国危険廃棄物・医療廃棄物処分設備建設計画」の実施のため、危険廃棄物申請登記・経営許可証管理を中心として、危険廃棄物発生企業や処理企業の監督管理を強化し、危険廃棄物マニフェスト制度を実施し、危険廃棄物全過程管理を実施する。
　第11次五ヵ年計画期間中、市レベルの医療廃棄物集中処理施設を整備し、31の省級危険廃棄物集中処理センターや300の区設置市の医療廃棄物集中処理センターを建設し、関連の国家・省級技術支援・監督管理能力建設事業を進め、それら総事業費は150億元になる。
[3]都市汚水処理
　給水、節水、汚水再生利用事業を推進し、優先的に都市排水管網を建設し、汚水処理場の建設には集中処理方式と分散処理方式を組み合わせた方式とする。汚水処理場から発生する汚泥は無害化処理を義務付ける。10流域の第11次五ヵ年計画期間中の都市汚水処理能力を日量2320万トン増強し、そのための建設事業費551億元(そのうち管網整備に270億元)とする。既存の汚水処理場の管網整備に65億元を投じる。
[4]都市ゴミ処理
　都市生活ゴミの分類回収、運搬、処理システムの整備を進め、ゴミ減量化と再資源化を優先的に進める。拡大生産者責任制を模索し、廃棄物の回収処理システムを規範化する。地方各級の環境保護局は輸入廃棄物加工利用・リサイクル企業への監督管理を厳格に行い、違法な輸出入を取り締まる。以上の総事業費は約300億元。
[5]石炭火力発電所脱硫
　第11次五ヵ年計画期間中、稼動中の石炭火力発電所の脱硫能力増強量は355万トン/年、稼働中発電機の脱硫規模は0.76億kW増やす。総事業費は約300億元。
[6]国家重要生態機能保護区整備
　第11次五ヵ年計画期間中、重要な水源涵養地区、洪水用水量調整地区、防風土砂固定地区、土壌保持地区、重要漁業水域に5種のモデル的国家級生態機能保護区を設置する。
[7]国家級自然保護区能力建設
　国家級自然保護区を中心とする自然保護区の管理保護能力向上を図り、重点的に保護区管理ステーション、動植物保護施設を建設する。230の国家級自然保護区への各種設備の導入に40億元を投じる予定で、平均1つの国家級自然保護区に1700万元となる。
[8]農村小康環境保護行動事業
　主な内容は、農村環境総合整備を進め、農村飲料水の質を改善し、農村の面源汚染と大規模家畜業汚染を防止し、土壌汚染修復・農村エネルギー総合利用・農産品安全基地建設などの実証事業を推進し、農村・農業生産汚染を軽減し、農村地区の環境改善を図る。この農村小康環境保護行動事業の総事業費は248億元で、国は133億元を拠出するよう提案している。
　上記8大事業のほか、2004年、財政部と国家環境保護総局は合同で第1次専用事業予算を2.77億元とする決定を下し、7産業100件の汚水処理事業を重点的に支援する。製紙・パルプ、食品・飲料、化学、紡績、革製品、鉄鋼、医療の7産業で、これにより企業の20億元の資金投入を誘発する。
　また環境保護資金投入主体の多元化を以下のように進める。市場による資源配置作用を活用し、環境価格体系を整備する。「汚染者負担、処理者受益」原則を守り、汚染者に処理コストを負担させ、処理者に経済的利益を還元する。工業企業の「生産と汚染処理」分離を奨励し、専門化集中汚染処理を実行する。都市汚水・ゴミ処理料金基準を引き上げ、民間企業の汚水・ゴミ処理施設整備事業への参入を奨励する。【中国国家環境保護総局】