一般財団法人環境イノベーション情報機構
ECCSストレーナと格納容器再循環サンプスクリーンの目詰まり回避策を原子炉事業者に指示
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2005.10.25 【情報源】原子力安全・保安院/2005.10.25 発表
原子力安全・保安院は平成17年10月25日、沸騰水型原子炉事業者に対し、非常用炉心冷却系(ECCS)ストレーナ(ろ過器)の閉塞可能性評価結果を踏まえた対策を19年度末までに実施するよう求めるとともに、加圧水型原子炉事業者に対しても、18年8月末までに、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を示すか、閉塞を回避する設備上の対策案とその有効性評価法を報告するよう指示したと発表した。ECCSストレーナは、沸騰水型原発で原子炉冷却材喪失事故時に原子炉に注水するため設置されているECCSポンプに異物が混入しないよう水源である圧力抑制プール内のポンプ吸い込み口に設置してある金網。
また格納容器再循環サンプスクリーンは、加圧水型原発で1次冷却材喪失事故時に燃料を冷却するための水源として使用する燃料取替用水タンクの水がなくなった場合に、次の水源として漏れ出た1次冷却材を回収して使用するために、格納容器内の底に設置されているタンク。タンク入口には飛散した保温材などの異物の流入防止用として格子状の金属フィルタが設置されている。
過去にスウェーデンや米国で、ECCSストレーナに保温材などの異物が付着し目詰まりを起こすトラブルが発生したことや、国内の原発の圧力抑制プール内で異物が確認されたことを踏まえ、保安院が16年6月に、各電気事業者に、ECCSストレーナの閉塞可能性評価結果や、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性評価に必要なデータの報告を求めたところ、17年4月に7社が「1基を除いて有効性が確認されない」と保安院に報告していた。
今回の要請は、この報告を受け、保安院が電気事業法施行規則別表第三の改正を17年10月25日に公布・施行し、ECCSストレーナと格納容器再循環サンプスクリーンを工事計画認可・届出手続が必要な原子炉の安全上重要な機器と位置づけたことを踏まえてのもの。【原子力安全・保安院】