一般財団法人環境イノベーション情報機構
3年をかけた水法案を提案
【水・土壌環境 地下水/土壌汚染】 【掲載日】2001.07.09 【情報源】フランス/2001.06.27 発表
6月27日、水法案の資料がドミニク・ヴォアネ環境国土整備大臣により閣議で発表された。1998年に閣議で発表された主要方針を受け、その後、水担当局をはじめとする関係者の一大作業により、ついに法案が完成した。法案は、水の公共サービスの強化を図るもので、公共サービスの業務の条件や役割、水の供給義務などを定義する。
また、水道料金の根拠に、「汚染者負担の原則」を導入。水源汚染者は、硝酸塩の放出量に応じた賦課により、より多くのコストを負担することとなる。
同大臣のもともとの意図は、水源の汚染者を罰し、費用負担を個人消費者から、水を大量に使用する農業者及び産業界にシフトさせることにあった。
現在のところ、農業目的の利用者は、フランス国内6つの水管理局に納められる料金総額100億フラン(1700億円)のうち、1%以下を払っているに過ぎない。しかし、農業者や農業ビジネスの水の消費量は、全消費量の70%にも及ぶ。集約的な農業、特にBrittany地方の養豚農家は、汚染の原因者とされる。専門家によると、フランスの地下水源の75%は、除草剤や殺虫剤などの影響を受けているという。この状況は、浄化費用全体を押し上げる要因になっており、浄化費用は水道料金の3分の1を占めるまでになっている。
しかし、こうした状況を変革しようとした水法案は、結局、農業サイド等の強烈なロビー活動によって、17回も書き換えられ、骨抜きに近いものとなったという。水を汚染する工業事業者は、毎年、2億フラン(34億円)を支払うこととなるが、追加的な財政支援を利用することもできるようになった。また、農業目的の利用者は、今後7倍近い金額を支払うこととなる。しかし、全国農業者連盟のロビー活動により、水の管理が良好な場合には、増加コストの大部分を相殺することが許されることとなった。
個人消費者は水源汚染に対する寄与度がもっとも少ないのにも関わらず、水道料金の85%を支払っている。同大臣の提案は、個人消費者の負担を減らそうとしたものだったが、削減幅はわずかなものとなりそうだという。【フランス環境・国土整備省】