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環境ニュース[海外]

欧州委員会、新化学物質規制の草案を発表

健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2003.05.19 【情報源】EU/2003.05.07 発表

 欧州委員会のリッカネン企業委員及びヴァルストロム環境委員は、5月7日、EUの新たな化学物質規制案を発表し、インターネットによる8週間の協議に付した。新規制案は、40に及ぶ既存のEU指令や規則に置き換わるもの。その目的は、化学物質への曝露に対して、ヒトの健康及び環境の保護を強化するとともに、EUの化学産業の競争力及び技術革新能力を維持、強化することにある。
 新たな規制案は、2001年2月の白書「将来の化学物質戦略」に提案された内容を実行するものである。その核となるのがREACH(Registration, Evaluation, Authorisation of Chemicals)、すなわち化学物質の登録、評価、許可を一つに統合するシステムである。REACHの下、化学物質を製造、輸入、使用する企業は、化学物質利用から生ずるリスクを評価し、明らかになった全てのリスクを管理するため、必要な手段を講じなければならない。これは、市場に安全な化学物質を流通させる証明責任を、公的機関から企業へ転換させるものである。
 登録すべき事項は、生産量、及びヒト・環境への曝露可能性によって異なる。
 高い懸念が示されている化学物質には、より厳格な規制が導入される。発がん性物質、突然変異誘発・生殖毒性物質(CMRs)、難分解性・生体蓄積性・有毒物質(PBTs)、及び著しく分解が困難で生体蓄積性の高い物質(vPvBs)等の特定物質は許可制の対象となり、早期に登録されることとなる。内分泌かく乱性物質など他の物質についても、前述の物質と同等の懸念が示されている場合、ケースバイケースで許可制度に取り込まれる。こうした高い懸念のある化学物質については、特定の使用目的のための許可が必要となる。許可の決定は、リスクアセスメント及び他の社会的・経済的要因を考慮して行われる。
 一方で、高分子化合物(ポリマー)及び中間物質(他の化学物質や製品の製造過程で利用される化学物質)については、登録すべき事項が緩和され、多くの場合(曝露のリスクが低い場合)、登録を免除される。
 なお、全物質のうち80%は、登録だけが求められる見込みで、評価や許可が必要となるのは残りの20%程度の物質にとどまると想定されている。
 各加盟国は、自国領域でのREACHの申請をチェックするとともに、登録のための書類を審査し、物質の評価を行うこととなる。なお、特定の物質について規制が必要か否かという判断は、最終的に欧州委員会が行うが、加盟国は特定物質の使用に関する規制を提案することもできる。
 この他、REACHの運営を行うため、新たに化学物質庁(Chemicals Agency)を創設することも提案されている。
【欧州委員会環境総局】

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