一般財団法人環境イノベーション情報機構
国際エネルギー機関、油田・ガス田の生産減退が世界的に加速と報告し供給要因の重要性を示唆
【エネルギー その他(エネルギー)】 【掲載日】2025.10.01 【情報源】国際機関/2025.09.16 発表
国際エネルギー機関(IEA)は、報告書「油田・ガス田の減退率がもたらす影響」を公表した。これによれば、油田・ガス田の生産量が時間とともに減退するペースは世界的に大幅に加速しており(注1)、仮に今、石油の上流部門への投資が停止した場合、ブラジルとノルウェーの合計産油量に相当する供給が失われることになるという。
IEAは、2019年以降、石油・ガスの上流部門への年間投資うち約90%が減退分を補うのに充てられていると説明する。
そして、現在の石油・ガスの生産量を維持するには新たな資源の開発が必要であり、既存の投資を継続してもなお、2050年までに膨大な量の石油・ガス生産が欠かせないと分析する(注2)。
さらに、近年は油田・ガス田開発が探鉱権付与から生産開始までに平均約20年を要していることにも触れている。
IEAのビロル事務局長は、減退率は投資の議論において避けては通れない問題だとして、「市場の需給バランスやエネルギー安全保障、温室効果ガス(GHG)排出への潜在的な影響にも細心の注意を払う必要がある」と指摘する。
(注1)IEAは、減退率が特に高い非在来型の原油やガス(タイトオイルやシェールガスなど)への依存が増えていることが主な要因だと分析している。
(注2)2050年までに新たな油田・ガス田(在来型)から、石油を日量4,500万バレル以上、天然ガスを約2兆立方メートル産出する必要があるという。
【国際エネルギー機関】