一般財団法人環境イノベーション情報機構
欧州化学物質庁など、ワンヘルスでアゾール系薬剤耐性菌の問題を研究
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2025.02.17 【情報源】EU/2025.02.14 発表
欧州化学物質庁(ECHA)を含む公衆衛生や環境関連の5つのEU機関は、アゾールがヒト用医薬品以外に使われていることによる公衆衛生への影響について研究した報告書を公表した(注)。アゾール系抗真菌薬はアスペルギルス属の真菌を原因とする感染症の治療に不可欠だが、この薬に耐性のあるアスペルギルスが出現し、治療効果が低下する事態が起きている。
こうした脅威に対処するため、これらの機関がワンヘルス・アプローチのもとで協力した。
報告書は、アゾールがヒト用医薬品以外に広く使用されていること(特に農業分野)が、アゾール耐性アスペルギルスが出現して生き残るリスクを高める可能性があると警鐘を鳴らす。
報告書には、以下を含む対策例が示されている。
・アゾール系殺菌剤の承認および許可プロセスへの新要件の追加
・抗菌薬に対する耐性を生じさせない新たな殺菌剤の研究・開発の支援
・有機廃棄物の適切な保管や廃棄物の効果的な管理、アゾール処理製品に対する責任ある使用や廃棄など、農業・園芸分野における優れた慣行の実践
(注)アゾールは窒素を1つ以上含む5員環複素環化合物の総称(出典:日本薬学会)。農薬(殺菌剤)や動物用医薬品、木材の防腐剤のほか、工業化学や化粧品の分野などでも使用されている。
【欧州化学物質庁】