一般財団法人環境イノベーション情報機構
欧州委員会、大多数のEU加盟国で硝酸塩による水質汚染への対策強化が必要と報告
【水・土壌環境 地下水/土壌汚染】 【掲載日】2021.10.27 【情報源】EU/2021.10.11 発表
欧州委員会は、硝酸塩指令の実施状況に関する最新の報告書を公表し、EUの多くの地域で依然として硝酸塩による水質汚染が続いていると警鐘を鳴らした。水中で硝酸塩が過剰になると酸欠状態や富栄養化が起き、人間の健康にも生態系にも有害である。報告書によると、硝酸塩指令が採択された1991年より前の状況と比べ、地表水と地下水の両方において硝酸塩濃度は低下しているが、いまだ多くの加盟国で農業に起因する富栄養化による汚染が深刻な問題となっている。今回の報告は2016〜2019年のデータに基づいており、EU域内の地下水の14.1%で、飲料水に対する硝酸塩濃度の上限値を超えていることが示された。また、海水の81%、沿岸水の31%、河川水の36%、湖沼水の32%で富栄養化が報告されている。同委員会は、硝酸塩指令の遵守は、2030年までに土壌の肥沃度を損なうことなく栄養塩流出を50%以上減らすという欧州グリーンディールの目標を達成するうえで大前提になるものであり、大多数の加盟国で対策の強化が必要だと指摘する。【欧州委員会】