一般財団法人環境イノベーション情報機構
アメリカ海洋大気庁、森林火災で発生する汚染物質は燃焼物質でなく燃焼温度から予測可能と報告
【大気環境 大気汚染】 【掲載日】2018.08.27 【情報源】アメリカ/2018.08.09 発表
アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、森林火災の煙の成分は燃焼物の種類(樹木、草、腐葉層など)よりも燃焼温度に左右されるという研究結果を報告した。森林火災は、有害物質であるベンゼン等の揮発性有機化合物(VOC)や煤、PM2.5、オゾン等を生成する。NOAAは2016年に、環境科学共同研究所(CIRES)と共にモンタナ州の火災科学研究所で、アメリカ西部の様々な燃焼物を用いて燃焼実験を行い、採取した排出物の成分や生成過程を分析した。その結果、VOCの変動の約85%が燃焼温度によるもので、温度が低いほど煙の有害性が高くなることが判明。また様々な健康影響をもたらすPM2.5の生成は、燃焼温度が低いほど増加することも分かった。こうした結果から、風下に拡散する煙の中の大気汚染物質は、衛星から測定可能な温度で予測できるという。
森林火災は近年、その規模と頻度が拡大しており、NOAAとアメリカ航空宇宙局(NASA)等は、森林火災の管理に役立つ情報・ツールの開発を目指し、2019年にアメリカ西部の森林火災による大気と気候への影響について実地調査を行う予定で、今回報告された研究結果はその設計に役立てられる。【アメリカ海洋大気庁】