一般財団法人環境イノベーション情報機構
イギリス、電気・ガス企業による気候変動適応計画を公表
【エコビジネス 環境報告書】 【掲載日】2012.01.04 【情報源】イギリス/2011.12.10 発表
イギリス環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、全国の電気・ガス企業が作成した、気候変動への適応計画を示す報告書を公表した。これら報告書によると、エネルギー部門は気候変動のリスクへの対応計画を大きく進展させているが、既存のインフラ資産を守り新たな環境に対応するための課題は多いという。エネルギー部門にとっての気候変動の主なリスクと現在の対策は、
1)洪水と海面上昇による発電所や変電所の浸水のリスクに対し、13カ所の変電所で洪水対策を実施する
2)洪水による河川水への異物混入で発電設備の損傷や効率低下を招くことへの対策として、逆浸透設備を導入する
3)夏季の気温上昇に備え、発電設備の冷却システムを改良する
4)干ばつと地盤変化による地上・地下の電線類損傷に備え、ケーブル類の堅牢性を増すための設計仕様を改訂する
などが挙げられている。他方、気候変動により冬季の寒さが緩和されるため、氷雪による発送電の効率低下が減る、冬季の暖房需要が低下し夏季の冷房需要が増えることで年間のエネルギー需要が平準化するなどのメリットもあるという。
これらの報告書は、イギリス政府が気候変動への対応準備状況と必要な適応策の評価する際にも有用な情報となる。DEFRAは、気候変動がもたらす課題に関する世界で最も包括的な展望を示す「気候変動リスク評価書」を2012年1月に発行する予定である。【イギリス環境・食糧・農村地域省(DEFRA)】