一般財団法人環境イノベーション情報機構
アメリカ環境省、大気汚染物質削減のため、ボイラー・焼却炉の新排出基準を決定
【大気環境 大気汚染】 【掲載日】2011.03.08 【情報源】アメリカ/2011.02.23 発表
アメリカ環境保護庁(EPA)は、大気浄化法に従って、ボイラー及び固形廃棄物焼却炉の汚染物質について、最終的な排出基準を決定した。ボイラーや焼却炉は、燃料や固形廃棄物を燃やすことで、水銀、煤塵、鉛等の汚染物質を大気中に放出する。こうした汚染物質は、子どもの発達障害のほか、ガン、心臓病、喘息の悪化等、健康被害の原因になるとされる。EPAは、新たな排出基準により、2014年には、年間に2600〜6600人の早死を回避し、心臓と喘息の発作それぞれ4100件、4万2000件を防げるとしている。ボイラーは、アメリカ国内の大小の排出源で約20万台が稼動しているが、新基準では、このうち多くの種類のボイラーについて、汚染物質排出削減のための実際的でコスト効果の高い作業方法を定めている。円滑な実施のため、EPAはエネルギー省、農務省と協力し、技術的支援を行いボイラーの効率や環境性能の向上を図るという。
EPAは、2010年4月に排出基準案を公表し、広く意見を募集した。これに対し寄せられた4800件を超える意見や新たな情報を基に、EPAは公表した案に修正を加え、一部の発生源では、最大達成可能抑制技術から一般的に利用可能な抑制技術に切り替える等、柔軟でコスト効果の高い基準とした。その結果、汚染物質を削減し国民の健康を守りつつ、汚染防止対策の設置や管理のコストを約50%下げることができたという。ただし、前回の基準案から大きく修正したため、EPAでは、再度意見募集を行う見通しである。【アメリカ環境保護庁(EPA)】