一般財団法人環境イノベーション情報機構
「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」の最終報告書が完成
【環境一般 調査/研究】 【掲載日】2010.11.04 【情報源】EU/2010.10.20 発表
10月20日、欧州委員会は、3年間に渡って実施された研究プロジェクト「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」の最終報告書「自然の経済学の主流化」が完成したことを公表した。報告書では、生態系の侵害、生物多様性の喪失によってもたらされるコストは、人間社会における対応の範囲を超えていることを示す経済的証拠が集められている。報告書は数千に及ぶ研究をまとめたものであり、そこでは、世界中で用いられている評価手段、政策、事例が調査されている。複数の事例をもとに、市民、政策策定者に対し、生物多様性の要素を、日常にどのように含めていくのか、10の提言を含んでいる。研究は、国連環境計画(UNEP)の指導のもと実施され、欧州委員会は、研究の資金調達に主要な役割を果たした。最終報告書では、過去3年間に公表された4つの報告書を補足している。「自然な生態系(森林)」、「住宅地の構造(都市)」、「産業部門(鉱業)」を重点とし、全てのレベルにおける決定プロセスにおいて自然の価値を含めるために、TEEBプロジェクトにおいて示された経済的コンセプトや手法が、人間社会においてどのように役に立つのか、示している。また、「生態系サービスへの支払い(PES)」が、自然資本のよりよい保全にどのように貢献するのか示している。例えば、メキシコでは、PESの導入により、年間の森林面積の損失が半減し、河川流域や雲霧林の保全につながり、320万トンのCO2が削減されることを例に挙げている。【欧州委員会環境総局】