一般財団法人環境イノベーション情報機構
森林や草原を開墾してのバイオ燃料生産は かえってCO2を増加させる
【地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2008.02.22 【情報源】その他/2008.02.07 発表
森林や草原を開墾してバイオ燃料を生産すると、かえってCO2排出量が増加し、地球温暖化問題を悪化させるおそれがある・・・こうした問題点を指摘する2本の論文がサイエンス誌2月号に掲載される。一つは環境NGOのネーチャー・コンサーバンシーとミネソタ大学が共同で実施した研究。熱帯林や泥炭地は多くの炭素を貯蔵しているため、こうした自然地域を開墾すると多くの炭素が大気中に排出されてしまう。熱帯林や泥炭地、サバンナ、草原を開墾して、パームオイルやダイズを育て、バイオ燃料を生産すると、化石燃料を代替することで得られるCO2削減効果より、土地の改変に伴って排出されるCO2の方が17倍〜420倍多くなると結論づけている。中でも、炭素排出量が最も多くなってしまうのは、インドネシアで泥炭地を開墾してパームオイルをプランテーションで生産するケースで、アマゾンでダイズを生産するケースがこれに続くという。
もう一つの研究は、プリンストン大学とアイオワ州立大学等が共同で実施したもの。世界的な農業モデルを利用して、土地利用の変更(森林や草原をバイオ燃料生産のために耕地化)に伴う温室効果ガス排出量の変化を推計したところ、トウモロコシを原料にしたエタノールでは、30年以上、温室効果ガス排出量が倍増した。アメリカ国内でスイッチグラスからバイオ燃料を生産した場合は、50%の排出増となった。
なお、2つの研究では、農業廃棄物などからバイオ燃料を生産する場合は、土地の改変を伴わないことから、温室効果ガス削減効果が得られるとしている。【ネーチャー・コンサーバンシー】