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環境ニュース[海外]

中国 政治協商会議:廃タイヤリサイクルの法整備推進を提案

ごみ・リサイクル リサイクル】 【掲載日】2007.05.24 【情報源】中国/2006.03.07 発表

 中国は2003年から連続3年間、世界最大のゴム消費大国となり、2004年のゴミ消費量は340万トンとなったが、そのうち7割は輸入で、自給率は3割もない。世界の天然ゴミ価格は2002年の1トン8000元強から、今年は1トン2万元強にまで上がり、3年間で3倍化し、供給不足になっている。一方で中国2004年の廃タイヤ発生量は1.12万本、約320万トンとなっている。2010年には、2万本になると見られる。一方でゴミ資源が不足して価格が高騰し、その一方で大量の廃タイヤの処理問題を抱えている。全国政治協商会議委員で南開大学環境発展研究センターの朱坦教授は、「廃タイヤ回収利用管理条例」の制定を呼びかけ、廃タイヤ資源のリサイクルを法制化管理の軌道に乗せるよう提案した。
 朱教授は今回の提案の背景として次のことを挙げた。第一にタイヤ更正率が低いことである。現在のタイヤ更正市場が整理されておらず、利用者に不便をもたらしている。中国の2004年タイヤ更正量は800万本で、国際的な方法である加硫式タイヤ更正は300万本で、更正率は4%しかなく、先進国の10〜15%という水準をはるかに下回っている。しかもタイヤ更正は大型車両のものが対象で、乗用車用タイヤの更正率は欧州の28.8%に対して中国はほぼゼロであり、航空機用タイヤの更正率は米国の90%以上に対して中国は20%にも満たない。
 その原因として、国は更正可能な古タイヤに更正を義務付ける規定がないこと、新タイヤ生産企業に対する品質要求がないことなどがある。一般の大型車両のタイヤは1年も経たずに廃棄され、走行距離も10万kmに満たない。先進国の新タイヤ生産メーカーは販売時に更正回数と走行距離を保証している。例えば世界的有力企業であるミシュランは欧州や北米での販売時には、3〜4回の更正が可能で走行距離も100万kmを保証しており、この基準に満たない場合は補償する。中国ではタイヤ更正企業に対して開業条件の規定もなく、数十万元から数百万元の投資ででき、計測設備もなしでタイヤ更正を行い、品質が基準に満たずに安全性に問題があり、市場競争力でも低い水準にとどまっている。
 関連政策がないため、中国では廃タイヤの処理は補助金もなくお金を払って買い取っている。現在1トンの廃棄斜交タイヤの買取価格は500〜600元となっている。タイヤチップ企業の優遇税制は2001年5月1日から導入されたが、廃タイヤ買取企業の多くは個人業者で増値税領収書を発行できずこの優遇を受けられない。
 中国の廃タイヤ回収にはまだ正規のルートが整備されておらず、市場の混乱を招き、汚染がひどくて資源利用率が低いという問題を引き起こしている。河北省玉田県窩洛沽鎮には数十世帯の農民が廃タイヤを買い取り、手作業で分解してゴム再生企業に売っているが、これらは靴底や家畜用槽など利用価値の低い製品に使われている上、処理できない部分は焼却処理し、環境汚染や資源浪費、爆発事故などを招いている。【中国環境報】

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