一般財団法人環境イノベーション情報機構
アメリカ 鉛に関する規制を強化 ビデオコンテストによる普及啓発も実施
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2009.09.04 【情報源】アメリカ/2009.08.26 発表
アメリカ環境保護庁(EPA)は、8月26日、鉛への曝露を減らすために、規制を強化し、普及啓発を行う一連の対策を発表した。これは、特に子供が鉛中毒になるのを防止することを念頭に置いたもので。以下の3つのステップが盛り込まれている。●鉛を含むペンキから、子供たちを守るための規制事項の追加提案:鉛を含むペンキの住宅への使用が禁止された1978年以前の多くの建物について、改修や塗装のための規制を強化し、安全な作業方法を広める提案を行う。これにより、リフォーム会社は、特定の改修、塗装作業後、塵の中の鉛の濃度がEPAの定める基準を超えないよう検査を実施すること、また、改修作業中の鉛に関する安全対策について、建物の占有者に対して情報を提供することが必要になる見込み。
2008年修復・修理・塗装規則の対象を拡大し、規制事項を強化するため、少なくとも3件の規則の制定に取り組む。
●鉛を使用した、タイヤの錘の製造・流通の禁止:EPAの推計では、毎年、2000トンもの鉛の錘が自動車からとれて、最終的に環境中に排出される結果となっている。鉛を使用しない錘も既に利用されており、代替は可能。シエラクラブなど環境NGOによる2009年の請願に答え、鉛を含有した錘の製造・流通を規制する。
●鉛中毒を防止するビデオコンテストの実施:EPAでは、住宅都市開発省(HUD)、疾病予防管理センター(CDC)とともに、市民から、子供たちの鉛中毒を防止する対策などを盛り込んだビデオを募集する。ビデオのテーマとしては、子供の鉛中毒の恐ろしさについての教育、古い住宅や学校、保育施設で過ごす際に子供を鉛中毒から守るための対策などが挙げられている。応募の締切は2009年10月1日。
なお、鉛は、脳・神経系の障害、高血圧、生殖上の問題など様々な健康影響の原因となるとされる。子供については、曝露濃度が低くても、学習障害、知能の低下、言葉や行動に関する問題など、発達に影響を及ぼすおそれもある。【EPA】