一般財団法人環境イノベーション情報機構
欧州委員会 欧州汚染物質排出登録制度のレビュー報告書と新たなPRTR構想を発表
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2004.10.26 【情報源】EU/2004.10.08 発表
欧州委員会は、欧州汚染物質排出登録(the European Pollutant Emission Register:EPER)制度に関する初めてのレビュー報告書を公表した。EPERは、産業から大気中、水域に排出される汚染物質について、インターネット上に登録するもので、欧州委員会及び欧州環境庁により、2004年2月にスタートした。今回の報告書では、2001年のデータを集めた、第1回目のEPERデータ収集・報告過程が評価の対象となった。報告書によると、従来のEU15加盟国、ノルウェー及びハンガリーは、期限を守り、完全なデータを提出していた。一方で、測定や計算方法を統一するとともに、未だ完全にカバーされていない埋立処分場、養豚場、養鶏場からの排出を含めるよう、報告書は加盟国に求める。また、多くの汚染物質について、ごく少数の施設からの汚染が、かなりの割合を占めている状況にあることも明らかにされた。
次回のEPERでは、EUの25加盟国及びノルウェーから、2004年のデータを収集する。ウェブへの掲載は、2006年末となる予定。
さらに、欧州委員会は、10月8日、今後、EPERを欧州版PRTRに格上げし、より包括的な登録制度とする構想を提案した。新たな欧州版PRTRは、2009年に登場する予定である。これまでのEPERは、大気中及び水域に放出される50の汚染物質を対象としていたが、新PRTRは大気中、水域及び土壌に放出される90以上の物質を対象とする。また、EPERが56の産業活動を対象にしていたのに対して、新PRTRは65の活動をカバーする。固定排出源ではない道路交通、航空、船舶航行、農業など拡散型排出源からの排出も報告される。
また、新PRTRでは、3ヵ年ごとではなく、毎年情報が更新される。これにより、市民を含め、全ての利用者にとって、より有益な制度となるであろう。【欧州委員会環境総局】
(下記プレスリリース:欧州版新PRTRについて)