一般財団法人環境イノベーション情報機構
中国が浪費した再生資源の価値は年間350億ドル以上
【ごみ・リサイクル リサイクル】 【掲載日】2007.05.30 【情報源】中国/2007.02.09 発表
中国の高度経済成長による資源の大量消費は続けられにくく、各種の廃棄物資から「資源を掘り出す」再生資源産業の相当な価値と大きな潜在力はますます顕著になり、「第二の鉱山」と言われている。中国の経済発展が直面している資源的制約は厳しくなっている。その一方、大量の再生可能資源が浪費されている。中国再生資源利用協会の統計によると、回収できるにもかかわらず回収再利用されていない資源の価値は年間350〜400億ドルにもなるという。
中国は世界最大のゴム消費大国であり、同時に廃ゴム発生量が世界最大の国の一つである。中国のゴム資源は世界のゴム資源総量の10%しかなく、毎年5割以上不足しており、ゴム資源の需給のアンバランスは深刻である。しかも中国の廃ゴム利用率も65%しかなく、日米など先進国と比べ、その差は大きい。
中国の家電産業は6000億元以上の市場規模を持った成熟した産業であるが、その電子廃棄物の排出量は年8%〜10%の速度で増加している。プリンタを例にすると、2004年、中国で消費されたインクカートリッジは6230万個で、トナーは1780万個であったが、インクカートリッジの回収率はわずか1%であった。現在、インクカートリッジの消費量は年約30%の速度で成長している。
先日江蘇省が行った調査によると、現在、同省だけで回収可能廃棄物の総価値は年間600億元にもなる。そのうち鉄スクラップ500万トン、廃プラ30万トン、廃ガラス90余万トン、古紙400万トン、非鉄金属 80万トン強ある。金属スクラップと古紙を回収利用したと計算すると、新たに鉄鋼生産量420万トンを増産でき、コークス140万トンと鉄鉱石850万トンを節約できることになり、紙製品320万トン以上を増産でき、木材1000万立方メートルを節約し、電気10億kWh、水6億トン以上を節約できることになる。
廃家電製品が地下産業チェーンを形成
青島新天地生態循環科技有限公司は全国初の廃棄家電回収実証企業である。1238万元を投じて建てられた5500平方メートルの解体処理作業場はがらんとしており、4本の生産ラインは稼動していない状態である。同社の一期事業では年処理能力20万台を設計し、二期では処理能力年間60万台を想定していたが、現在まで一期事業では計画の15%しか資金投入されていない。累計で回収した廃家電はわずか1万余台であり、正常な生産能力の需求を全く満たせず、ずっと赤字経営が続いている。廃家電の回収解体・利用では低コスト、低投資、高汚染の地下産業チェーンが形成されており、また廃家電回収処理関連の政策・法規がないため、正規の企業が原料を入手できない。
天津東邦鉛資源再生有限公司は天津経済技術開発区が導入した自動車・バッテリー産業の廃鉛を専門に処理する循環型企業で年1.2万トンの再生合金鉛の生産力を持つ。回収利用企業は『危険廃物経営許可証』を取得しなければならないが、東邦公司は現在天津市でこの証明書を有する唯一の企業である。しかし原料を入手できず広い工場は静かで、先進な環境設備が大量的に放置されている。同社は毎年、廃棄鉛酸電池を約2万トン必要としている。現在、出資者の2社が提供した約6000トンの廃鉛原料以外には、民間の廃棄物回収センターから高価で買収するしかない。しかし同社は環境の要求に従うため、生産コストは小企業より約30%高く、民間ルートを通じて廃棄鉛酸電池を調達すると仕入れ領収書をもらえず、付加価値税を控除できないため、廃棄鉛酸電池の調達では正規企業は地下ルートとの競争に勝てない。
専門家は「現在、中国には再生可能資源の回収利用の法規がなく、既存の奨励政策では系統性と実行性に欠けている。国は、関連の法律法規を整備し、廃棄資源回収利用の特別資金を設置し、資源再生産業の健全な発展を支援する必要がある」と指摘した。【中国国家環境保護総局】