一般財団法人環境イノベーション情報機構
中国 従来型の石油精製を規制する法規を公布、廃タイヤを循環利用の軌道に
【ごみ・リサイクル リサイクル】 【掲載日】2007.05.29 【情報源】中国/2007.01.02 発表
国家発展改革委員会と国家環境保護総局は先日、深刻になっている廃タイヤを利用した違法な石油精製に対し、「レッドカード」を突きつけた。両者が公布した「廃タイヤの従来型石油精製規制活動実施に関する緊急通達」は、各地で廃タイヤを利用した従来型の石油精製による環境汚染行為を、法に基づいて制止するよう要求している。同時に、発展改革委員会・環境などの部門は、廃タイヤ総合利用企業に対して厳格な市場参入制度を実施するよう求める。中国ゴム工業協会の範徳介秘書長によると、中国は2003年から3年連続で世界最大のゴム消費大国となっており、2004年のゴム資源消費は340万トン、うち70%を輸入に頼り、自給率は30%に満たない。需要の高まりで天然ゴム価格が急騰した。世界の天然ゴムの価格は、2002年の1トン当たり8000元余りから、2006年時点で1トン当たり2万元にまで上昇している。3年で3倍近くも上昇し、供給不足となった。これと対照的に、中国の2004年の廃タイヤ発生量が1.12億本、約320万トンに達している。2010年までに、中国の廃タイヤ発生量は2億トン以上になる予測が出ている。一方では、ゴム資源が不足して価格が高騰し、一方では大量の廃タイヤ処理という難題に直面している。
需給アンバランスが顕在化する中で、廃タイヤ利用による違法な石油精製企業は生き残る場所を見出し、廃タイヤによる従来型の石油精製での汚染は中国の大半で広がった。この違法な加工工場が使っている簡素な土窯は、廃タイヤを不完全燃焼させ、液体石油を溶かし出し、この過程で大量の硫化水素・二酸化硫黄・ベンゼン類・ジメチルベンゼン類などの有毒有害な気体が出るだけでなく、有毒有害な残滓も土地と水源を深刻に汚染する。多くの地区では、この種の石油をガソリンに混入させ販売しており、自動車エンジンにも大きな損害をもたらしている。
現在、河北省、山東省、安徽省、湖北省、江西省、浙江省等では、廃タイヤを利用した違法な石油精製の作業場がある。環境保護総局のデータによれば、2005年中国の廃タイヤ発生量は324万トンで、従来型の石油精製方法により174万トンが処理されたという。
現在、国際的な廃タイヤ循環利用の方法の主流は、タイヤ再生とゴム粉による再生ゴム生産である。しかし原料の多くが廃タイヤの違法な石油精製企業によって独占され、中国の廃タイヤ再生利用企業は十分な原料を入手できない状況が続いており、多くの企業で操業縮小に追い込まれている。範氏によると、現在中国の廃タイヤ再生利用企業の実質生産量は、生産能力の半分しかないといい、原料不足が産業発展の大きな阻害要因になっている。【中国環境報】