一般財団法人環境イノベーション情報機構
燃料電池活用戦略についての報告書まとまる バイオマス資源を利用した燃料電池の可能性探る
【エネルギー 燃料電池】 【掲載日】2003.04.25 【情報源】環境省/2003.04.25 発表
環境省の「燃料電池活用戦略検討会」は平成15年4月25日までに燃料電池の活用戦略についての報告書をまとめた。燃料電池は化石燃料を使わない発電方法として注目されており、環境省でも平成12年度から神戸市で生ごみバイオマス化燃料電池発電設備による温暖化防止対策の検証事業を実施していた。
「燃料電池活用戦略検討会」はこの検証事業の成果を踏まえ、同省にとっての包括的な燃料電池活用戦略を検討していた。
報告書は、天然ガス、メタノールなどから得られる水素を燃料とした固体高分子形燃料電池の開発動向、開発の課題や方向性をまとめるとともに、乳牛の糞尿や下水汚泥、食品系廃棄物、ビール会社の工場排水など、バイオマス資源を利用した燃料電池のCO2削減面での可能性や開発の課題を整理している。
バイオマスは動植物・微生物・有機性廃棄物など生物由来の有機性資源のこと。日本国内に導入されているバイオマス資源総量年間約2.1億トンあり、エネルギーや製品に活用できるバイオマス資源量も年間発生量約9,100万トンの家畜糞尿、同約1,900万トンの食品廃棄物をはじめ十分な量がある。バイオマスの有効活用は循環型社会形成、地球温暖化防止(植物バイオマスの燃焼時に放出されるCO2は、光合成により大気中から吸収したCO2の再放出であり、大気中のCO2を増加させない)面からも望ましいが、収集が困難で高効率の利用技術の開発がされていないことなどから、これまで有効活用されていなかった。
今回の報告によると、廃棄物系バイオマス資源のうち特に量が多い家畜糞尿、下水汚泥、食品系廃棄物をメタン発酵し、燃料電池への活用すると二酸化炭素換算で1,293キロトンの温室効果ガス排出削減効果が期待できるという。
また課題としては、バイオマス資源の効率的な分別・収集技術や、残さ処理技術、排水処理技術の開発、低コスト化、生ごみの量や質の変動に対応し電力供給の安定を図るための都市ガスとの系統連系のための制度面での整備の必要性などが指摘されている。
環境省は温暖化対策の観点から効果的な燃料電池システムの導入・普及が図られるようこの報告書を地方公共団体に配布する方針だ。【環境省】