一般財団法人環境イノベーション情報機構
東洋紡、次世代の再生可能エネルギー発電システムの実用化に貢献
【エネルギー 再生可能エネルギー】 【掲載日】2023.03.02 【情報源】企業/2023.02.20 発表
東洋紡株式会社の中空糸型正浸透膜(Forward Osmosis=FO膜)は、デンマークのベンチャー企業SaltPower社が世界で初めて実用化に成功した浸透圧発電プラントに採用された。デンマークのマリアージャにあるNobian社の製塩工場に設置され、2023年4月中に稼働を開始する予定となっている。浸透圧発電とは、2種類の溶液の浸透圧差を利用して発電するシステム。地下岩塩層や地熱水などの天然資源が豊富に存在する欧州を中心として、天候や昼夜に関わらず安定的に稼働し、太陽光や風力と同水準のコストで発電が可能であることから、次世代の再生可能エネルギー発電システムとして注目を集めている。
同社のFO膜は、円筒形の圧力容器に高密度に中空糸を充填した半透膜の一種。クロスワインド構造をはじめとする独自の内部構造により、高濃度の塩水と淡水の双方がFO膜内部で均一に流れ、浸透圧差から生じる流量の増加を、高効率に発電量に転換できる。また、海水淡水化向けRO膜の開発で培った技術により優れた耐圧性能を備えるため、高効率な浸透圧発電に必要な高い運転圧力にも対応し、高い発電効率を維持することが可能。これまで、SaltPower社などが運営する浸透圧発電のパイロットプラントにも採用されており、実証実験を重ねてきた結果、このたびの実用化に至った。
【東洋紡株式会社】