福島第一原発３号機、格納容器内の全ての制御棒駆動水圧系配管を交換へ

【エネルギー 原子力】 【掲載日】2002.11.25 【情報源】原子力安全・保安院／2002.11.22 発表

　東京電力（株）は、福島第一原子力発電所３号機（沸騰水型、定格出力７８万４千キロワット）の制御棒駆動水圧系配管２４２本でひびがみつかったことについての原因と対策に関する報告書をまとめ、平成１４年１１月２２日付けで原子力安全・保安院に提出した。
　同機では平成１４年９月２５日時点で格納容器内の制御棒駆動水圧系配管２８２本中、２４２本にひびが見つかっていたが、今回の報告によれば、最終的に２４２本のうち６本に貫通したひびがあることが確認されたという。
　なお貫通部について金属調査を実施した結果では、塩化物に起因する粒内型応力腐食割れ（結晶粒の内部を横切るような形で発生・伝搬する応力腐食割れの一種）のようすを確認。さらに過去の点検履歴から、建設時に原子炉格納容器上部が開放されていたことが確認されたことから、東電では建設時に配管表面に海塩が付着し、その後の配管にかかる応力や格納容器内の湿度などの条件が重なり粒内型応力腐食割れが発生したと原因を推定した。
　一方、福島第一原子力発電所４号機で海水系排出用配管からの海水漏れが遠因となった制御棒駆動水圧系配管の不具合が判明したことを受け、３号機についても格納容器外の制御棒駆動水圧系配管の点検を実施したところ、格納容器外の配管２８本に新たにひびを発見。このうち５本については配管の肉厚寸法を割り込んでいることが確認された。
　詳細調査の結果では、これらのひびの原因は４号機同様、海水排出用配管からの海水漏えいにより、制御棒駆動水圧系配管表面に塩化物が付着したことによると推定された。
　なお東電ではこれらのひびへの対策として、（１）格納容器内の全ての制御棒駆動水圧系配管の交換、（２）類似箇所の点検実施、（３）定期的な配管点検の実施と異常があった場合の清掃・健全性調査の実施、（４）格納容器外のうち異常のあった海水系排出用配管と制御棒駆動水圧系配管の交換、（５）海水排出用の配管の定期的な点検実施と飛散防止カバーの取り付け−−などの対策をとると報告。原子力安全・保安院もこの報告内容を妥当であるとの判断を示した。【原子力安全・保安院】