三菱重工、170万kW級加圧水型原発プラントでEUR認証取得、欧州大型市場に参入

【エネルギー 原子力】 【掲載日】2014.10.30 【情報源】企業／2014.10.27 発表

　三菱重工業は、世界最大級の170万kW級の加圧水型（PWR）原子力発電プラント「EU-APWR」で欧州電力要求（EUR）の認証を取得した。欧州の主要電力会社がまとめた膨大な要求項目への適合性が認められた。認証取得によって、欧州の大型原子炉市場への参入基盤が整った。日本のメーカーでEURの認証を取得したのは三菱重工が初めてだ。
　EURは、原子力発電を実施する欧州の電力会社16社が各国の規制要求や運転経験を基にまとめた約5000項目の要求で構成される。EU-APWRの審査は2012年10月に始まった。三菱重工は約70の基本設計図書と、約200の補足説明図書を提出した。これを基に安全性や運転性能などが審査され、欧州市場に受け入れ可能な水準に達していることが認められた。
　今回EURの認証を取得したEU-APWRは、日本国内用に準備を進めてきた153万8000kWの改良型PWRをベースに、欧州各国の規制や顧客ニーズを反映させた最新型のPWRとなる。従来のPWRと比較して機器と出力を大型にし、世界最高レベルの熱効率を達成している。自動安全システムやデザイン要素を新たに取り入れ、経済性と安全性を向上させた。
　三菱重工は、フランス原子力安全規制当局（ASN）などからも、合弁会社が開発した110万kW級の中型PWR「ATMEA1」が安全規制と技術的要求に適合していると評価されている。EU-APWRの認証取得で欧州向けに大型と中型がそろい、今後EU-APWRとATMEA1の営業活動を積極的に展開する。三菱重工は日本では24基のPWRの建設実績を保有している。【三菱重工業(株)】