一般財団法人環境イノベーション情報機構
浜岡原発1号機の配管破断事故と漏水事故について最終報告書作成
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2002.05.14 【情報源】原子力安全・保安院/2002.05.13 発表
原子力安全・保安院は平成14年5月13日、中部電力(株)浜岡原子力発電所1号機の余熱除去系配管の破断事故と制御棒駆動機構(CRD)ハウジング下部からの漏水事故の原因究明と今後の対応について、同院として最終報告書をとりまとめた。この最終報告書は4月24日に中部電力から提出された最終報告書を評価分析するとともに、原子力安全・保安院が独自に行った調査結果を総合し、規制当局の立場からとりまとめを行ったもの。
蒸気配管破断事故の原因としては「炉水の放射線分解により発生した水素と酸素が配管内に蓄積していたところに、高圧注入系作動試験に伴う圧力変動により高温の蒸気が流入。配管内に付着していた貴金属の触媒作用の助けもあり着火。水素、酸素が急速に燃焼し、圧力が急上昇したため破断した」とほぼ中部電力の報告内容を認めた内容。
なお対策としては、沸騰水型軽水炉を運転する全電気事業者に対し、余熱除去系蒸気凝縮系配管撤去、あるいは配管の分岐部への弁設置−−のいずれかの措置を求めることとし、高濃度の水素が蓄積する可能性がある他のタービン系の箇所についても設備変更か温度計設置による監視を求めている。
一方、漏水事故の原因についても、(1)溶接金属(2)溶接施工方法、(3)炉水環境−−など要因が重なって応力腐食割れが発生、原子炉水の漏えいが起こったとの中部電力の報告内容を支持。
対策としては、沸騰水型軽水炉を運転する全電気事業者に対し、監視体制の強化を求めるとともに、特に浜岡原発1号機と同様の溶接金属と溶接施工方法をとり、今回の事故箇所の点検実績がなかった沸騰水型軽水炉5基については点検実施を求めることとしている。
更に2件の事故では、既に対策技術が確立済みと受けとめられてきた主蒸気中に含まれる水素についての技術的検討が設計変更時に考慮されていなかった点や、設計時に腐食に強いと思われていた溶接金属インコネル182での応力腐食割れ発生可能性などの科学的知見の変化があったことを踏まえ、これらの事故から得られる教訓として、(1)確立した技術の蓄積・伝承を的確に行う、(2)新たに得られる知見に対する調査・研究の推進、(3)品質保証や品質管理強化のための品質管理の検査体制構築−−などを実施していく必要性も指摘された。【原子力安全・保安院】