一般財団法人環境イノベーション情報機構
中部電力、浜岡原子力発電所1号機の配管破断事故と漏水事故について最終報告書を提出
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2002.04.25 【情報源】原子力安全・保安院/2002.04.24 発表
中部電力(株)は浜岡原子力発電所1号機で平成13年11月に起こった(1)余熱除去系の蒸気配管破断事故と(2)原子炉圧力容器下部と制御棒駆動機構ハウジング(駆動機構を収めるステンレス製のケース)貫通部付近からの水の漏えい事故について原因と対策についての最終報告書を平成14年4月24日付けでまとめ、原子力安全・保安院に報告した。このうち蒸気配管破断事故の原因としては「炉水の放射線分解により発生した水素と酸素が配管内に蓄積していたところに、高圧注入系作動試験に伴う圧力変動により高温の蒸気が流入し着火。水素、酸素が急速に燃焼し、圧力が急上昇したため破断した」との結論に至った。
なお中電が原因究明のために実施した再現試験結果によれば、水素、酸素が蓄積しただけでは着火には至らなかったが、配管内部に触媒作用のある貴金属を付着させた際には、着火する場合があることが確認されており、今回の事故の場合でも、配管内に付着していた貴金属(白金とロジウム)が触媒として作用し、着火に至った可能性があるという。
中電では対策として、水素を蓄積させないよう、余熱除去系蒸気凝縮系配管の撤去するとともに、水素が滞留する可能性のある箇所の設備更新を行う。
また、水の漏えい事故については応力腐食割れ(金属の溶接部などに生じたひずみが原因となって腐食が起こり割れる現象)が起こる要因が重畳して粒界型応力腐食割れが発生したものと推定され、対策としては、き裂が確認された制御棒駆動機構ハウジングとスタブチューブを耐食性に優れた材料に取替えるほか、監視体制を改善し、漏えい監視データに異常な徴候が認められた場合には、直ちに詳細な調査を実施できる体制づくりを行うとしている。
原子力安全・保安院では中電からのこれらの報告に対し、検討を行い、同院としての見解をまとめる予定。【原子力安全・保安院】