一般財団法人環境イノベーション情報機構
建築用断熱材中のフロン 約3〜4万トンが残存
【地球環境 オゾン層】 【掲載日】2002.04.09 【情報源】経済産業省/2002.04.09 発表
経済産業省は平成12年度補正予算により実施した、「建築用断熱材中のフロン回収・処理技術調査事業」の調査結果を公表した。断熱材に使われている発泡ウレタン(ウレタンフォーム)などには、以前は製造過程で発泡剤としてフロンが使われており、ウレタンの小さな泡の中にはいわば、フロンガスが詰まっている状態になっていた。しかし、これらのフロンガスは建築後20〜25年経つと全て放出される危険性が指摘されており、産業構造審議会が平成13年6月にまとめた「CFCの管理のあり方について」でも、建築用断熱材のフロン漏洩量の経年変化調査の実施や回収処理技術の確立を検討していくことが提言されている。
今回の事業は断熱材中のフロン残存量を適切に測定する技術の確立と、残存量に応じた経済的回収・処理手法についての調査・検討を行うもので、財団法人建材試験センターに委託して事業を実施している。
調査は、断熱材中のフロン残存量分析方法基準化のための従来の分析方法の検証や、全国各地域の様々な建築に使われている部材中のフロン残存状況の把握などを行なった。
なお今回の残存状況把握結果によると、IPCCの排出量算定ガイドラインでは、断熱材中のフロンは建築後20〜25年経つと全て放出されるとしているが、築後30年を経過してもある程度のフロンが残存していることが判明した。
更に、建築着工統計や素材の出荷統計などから、全国の建築物に使用されている発泡樹脂系断熱材の総量をスチレンフォーム35万〜63万トン、ウレタンフォーム37万〜47万トンと推計。このうちスチレンフォームで3,200〜5,000トン、ウレタンフォームで29,000〜36,000トンのフロンが残存していると推定した。
経済産業省では引き続きこの調査を進め、フロン残存量についての精度向上を図るとしている。【経済産業省】