一般財団法人環境イノベーション情報機構
浜岡原発1号機の漏水 スタブチューブ下部溶接部での応力腐食割れが原因
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2002.02.20 【情報源】原子力安全・保安院/2002.02.20 発表
中部電力(株)は、平成13年11月9日に発見された浜岡原子力発電所1号機制御棒駆動機構ハウジング部(駆動機構を収めるステンレス製のケース)からの水の漏えいについて、スタブチューブ(制御棒駆動機構ハウジングを覆って保護・固定する部分)下部溶接部で応力腐食割れ(金属の溶接部などに生じたひずみが原因となって腐食が起こり割れる現象)が起こったことが原因とする報告を平成14年2月20日付けで原子力安全・保安院に対し行った。中部電力では、平成13年11月26日にスタブチューブ下部溶接部が漏えい部位であることを確認後、ただちに、漏えい箇所溶接部の金属調査と1号機の他のスタブチューブ下部溶接部の点検結果を開始し、同12月25日にもすでに原子力安全・保安院に対し中間報告を提出していた。
今回の報告では、漏えい箇所であるスタブチューブ下部溶接部から採取した金属片について、破面・断面観察、硬さ、化学成分分析などを実施した結果、溶接部のき裂が粒界に沿って折れ曲がりを伴って進展していること、破面には金属疲労による損傷時の特徴となる模様が観察されなかったこと、溶接金属や母材にき裂以外の欠陥が見られなかったことなどから、き裂は「粒界型応力腐食割れ」の特徴を示していると結論している。
また、1号機の他の88本のスタブチューブ下部溶接部について水中カメラによる点検を行った結果では、いずれも異常は認められなかった。
なお、原子力安全・保安院は、この報告を妥当な内容と評価した上で、実物大模型やシミュレーションによる更なる原因究明調査実施時には、ハウジング溶接部への力のかかり具合を再現したき裂進展状況を含めて調査・評価するよう、中部電力に対し指示を行った。 【原子力安全・保安院】